チェコでの婚姻とビザ申請の手続き(その4:離婚証明書・アポスティーユ・翻訳)

前回、渡航までの準備を書きました。

今回は、わたしがチェコへ渡ってから2週間ほどの間に行った手続きについて書きます。この頃が一番書類の手配が予定通りに進まず先が見えないことにイライラしていた気がします。

わたしたちは少しのあいだ日本で一緒に暮らしていました。わたしの渡航よりペトルが一足先にチェコへ戻り、わたしの到着までは、市役所に必要書類を問い合わせたり、翻訳会社に翻訳の依頼をしたり、少しずつ準備を進めてくれていました。

渡航より
13日目
ペトルがプラハに仕事の用があったため、わたしもそれに付いて行って泊りがけで滞在していました。その時に、キヨフ市役所から婚姻書類のことで電話があり「追加で離婚証明書が必要です」と言われました。

離婚証明書???

今まで国際結婚に関することは散々調べたのに初めて聞いた言葉でした。よく考えればそれはそうで、みんな初婚だからですよね。離婚歴がある人にのみ必要な書類です。

離婚証明書

最初聞いた時は「そんな書類存在せんやろ」って言いました。だって、戸籍謄本に離婚の詳細は全て書いてあるし、独身であることを証明する婚姻要件具備証明書も持ってるんだから、それらが代わりになるんじゃないかと思いました。
チェコ側が「○○○証明書」が必要です、と言っても、国によってはぴったり同じ書類が存在しない場合もあります。もし日本にその書類がなければ、代わりのものでも構わないのです。

離婚証明書というものを聞いたことが無かったわたしは、「無いです」で乗り切れると思ったのですが、念のため在チェコ日本国大使館に電話してみると「こちらで発行できますよ」と予想外の返事。だったら今から貰いに行きます!と、その足で大使館へ向かいました。
離婚証明書の申請には戸籍謄本とパスポートの提示が必要です。翌日に、翻訳会社に行く予定だったので、幸いなことに戸籍謄本も手元に持っていたのです。プラハから遠方に住んでいるわたしにとっては本当にラッキーでした。


日本国大使館のサービスは完全に日本でした。入り口のガードマン(チェコ人のおじさん)までが笑顔対応で、受付の流暢な日本語を話すチェコ人のお姉さんは優しいし。お役所なのにめちゃくちゃ癒されました。

離婚証明書はその場ですぐに発行してもらえました。誰が・いつ・誰と・どこで離婚したかが書かれているだけで、全て戸籍謄本に書いてあることです。そりゃあ持参した戸籍謄本を元に作成したんだからそれ以上の情報は載ってるはずがありません。この書類が本当に必要だったのか改めて疑問が・・・。手数料は現金で240Kč(約1200円)。

もし、離婚証明書を日本で用意しようと思ったらぴったり一致する名前の書類はないそうですが、離婚届を提出した役所へ行けばそれにあたる何かを発行してもらえるようです。
わたしはチェコで発行してもらったので、内容が全てチェコ語で書かれていました。要は、翻訳する必要がない!翻訳代が浮いてかえって助かりました。

あと、この日キヨフ市役所からの電話でもう一つ妙な指示をされました。
「日本でどこに住んでいるかを証明するものがいる」と。
そう言われても、もう住民票は抜いてるし今は証明できる住所ないよ?どうすればよいのか尋ねたら「○○のレジデントだって “書いて” くれたらいいから」。本当にそんなのでいいのか5回くらい聞き直しましたが、それでいいと言うので、結局白いコピー用紙に、

私は京都市の住民です。
2017年2月22日 プラハにて
(名前・サイン)

と手書き(日本語)で書くことで、京都市の住民だってことにしました。もう転出してるけど。
これにも翻訳が必要なので、同時に翻訳会社に依頼しました。この紙キレが本当に必要だったのかは今でも怪しいと思っています。

 
14日目

チェコ外務省でアポスティーユを貰う

前日に手に入れた離婚証明書にアポスティーユを貰わなければいけません。日本国大使館で、チェコの外務省へ行くように言われました。場所はプラハ城の入口のすぐそば。

こういうのってすごく待たされたりするんだろうなぁ、と思ったので早起きして朝イチで行ったら、なんと10分で終わりました。離婚証明書の裏に小さい紙を貼って判子を押されただけで手数料はたっぷり600Kč(約3000円、収入印紙で)。

プロの翻訳でも自分で確認すべし

日本語の書類は全て公認通訳士によるチェコ語への翻訳が必要です。戸籍謄本など一式の翻訳はプラハの翻訳会社に依頼しました。
プラハまで遠いため、事前にスキャンして翻訳作業は進めてもらっており、この日は書類の原本を持参しました。

最終的には、原本、アポスティーユ、翻訳をまとめて綴じた状態にしてもらいます。例えば紙一枚の戸籍謄本でも、

・戸籍謄本
・戸籍謄本の翻訳
・戸籍謄本の翻訳の翻訳者の証明書
・戸籍謄本のアポスティーユ
・戸籍謄本のアポスティーユの翻訳
・戸籍謄本のアポスティーユの翻訳の翻訳者の証明書

という風に、戸籍謄本1枚に対して最終的には6枚仕立てのたいそうな冊子になります。

この日は、もう一つ翻訳業者に確認しなければいけないことがありました。事前にもらっていた翻訳をキヨフ市役所に見せて内容に問題がないかを確認してもらっていたのですが、そこで、なぜか「本籍地の住所がどこにも書いてない」と言われていました。戸籍謄本に本籍地は書いてあるのになんでだろう?と思い、ペトルに「謄本のこの部分わたしの本籍住所やけど?」と差したら、「翻訳が京都市役所の住所ってことになってる…」と。翻訳間違いのせいでわたしの住所が無いことになっていたのでした。

わたしはチェコ語が分からないし、ペトルは日本語が分からないので、確認しようともせず気づくことができませんでした。それを翻訳会社に直接行って説明しました。悪びれる様子がなくイラっとしましたが、数日で修正してくれました。

こういった書類の翻訳はほぼ名詞なのでそれほど難しくはありません。google翻訳でもいいから自分たちで確認しておくべきでした。
国の公認を受けた通訳士の仕事でも過信してはいけないと学びました。
 
公認通訳士のリストは市役所から貰いました。それによるとチェコ国内に有資格の通訳士は17人いることになっていましたが、問い合わせたら既に廃業している人もいたので、実際は17人より少ないと思います。さらにその中でも、会社勤めをしている人もいれば、翻訳会社と契約している人、完全フリーランスの人。状況は色々で、全員にメールを送りましたが、すぐに返信があったのは片手で数えられるほどでした。
わたしが書類の翻訳を依頼した翻訳会社はエージェントのようなところで、実際にはそこから17人のうちの誰かに仕事がまわされたことになります。

この後、2回通訳士さんを依頼する機会があったのですが、その時は2回とも別のフリーランスの方に依頼しました。二人とも料金も良心的でレスポンスも早く仕事ぶりも100点。また機会があったら同じ方にお願いすると思います。
 
次回は、結婚までの手続きをもう少しとビザ申請について。多分、あと一回で書き終えられるかな。やったことが多過ぎて長くなってしまいました。

12 Replies to “チェコでの婚姻とビザ申請の手続き(その4:離婚証明書・アポスティーユ・翻訳)”

  1. Ayako M より:

    こんにちは、はじめまして。
    今年夏にチェコ人男性との結婚を予定している者です。
    Norikoさんのブログをずっと読んで参考にさせてもらっています。
    本当にもうわからないことだらけで本当に困っています。
    もし構わなければいい翻訳士さんをご紹介いただけないでしょうか。
    宜しくお願いします。
    Ayako

    1. Noriko より:

      Ayakoさん、初めまして。
      残念ながら私がお願いした翻訳・通訳士さんは、現在仕事を受けていないらしいんです。
      記憶が曖昧なのですが、警察だったか、移民局だったか、でチェコにいる日本語の公認翻訳士の一覧を貰ったので、そこから受けてくれる人を見つけました。
      書類系の翻訳は、「I.L.T.S. Praha」という翻訳エージェントに頼みました。そこから契約しているフリーランスの翻訳士さんに仕事が行く様なので、結局は先に挙げたリストの中の人が請け負います。

      婚姻手続きのことを調べていらっしゃるのだと思いますが、自治体によって結構な違いがある様で、とにかく担当の市役所が出せと言ってる書類をかき集めた感じです。
      いざ取り掛かるまでは不安だと思いますが、頑張ってくださいね!

  2. Ayako M より:

    お返事ありがとうございます。
    最初の予定では来春に結婚、今夏は単にバカンスでチェコに2週間行こうと思っていたんですが、相手が「じゃあその間に結婚しよう!人生は短いんだ!(ハァ?)」と言い出しまして。
    そんなん2週間で出来るの?って聞いたらダイジョブダイジョブ!と…。
    その後私は日本に帰って仕事をしなくちゃいけないのですが、翻訳・アポスティーユとも日本で準備していったとして「チェコで」2週間で結婚するのって可能なものなのでしょうか。
    最低でも1か月は滞在しないと無理な気がするんですけど;。
    せっかく翻訳について教えていただいたのに、のんびりプラハで頼んでいられないことに気付きました、すみません。

    1. Noriko より:

      Ayakoさん
      結婚相手の方がチェコ在住で、彼が現地で全て事前に手続きを進められるのでしたら、もしかすると可能かもしれません。
      私の市の場合だとその方法は無理でした。市役所が提出した書類をその場で受理してくれるわけでは無く、確認に日数を要ましたし(しかもいつになるか分からない)、手続き段階で私本人が出向いてサインが必要だったりしたからです。

      本当に婚姻届を出す市によって違うので、市役所に「新婦が現地に居ずして手続きを進めて、2週間の滞在のうちに結婚式が可能か」を問い合わせるしか解決出来ないと思います。

      市役所だけでなくチェコ警察にも行かないといけないし、式に必須の通訳さんも探さないといけないし、結婚の手続きは複雑でやる事が多かったです。国際結婚している人ってみんなこんな煩雑な手続きを経たのかと気が遠くなった事を思い出します。彼氏さんの希望が叶います様に!

  3. Ayako M より:

    NORIKOさん
    …。
    2週間なんて無理に決まってますよね。
    NORIKOさんから教えていただいたことを彼に伝えてよく話し合った結果、私がこの夏に1か月半チェコに滞在して結婚することにしました。
    彼も先日、役所に行って話を聞いて書類を貰ってきたようです。
    国際結婚って本当に煩雑ですね。
    でも今この勢いで行かないともう結婚できなくなりそうだし、そうすると遠距離な私たちの関係も危うくなりそうなので。
    がんばってみます。
    色々アドバイスありがとうございました。
    今後もブログを読ませていただいて参考にさせていただきます。

    1. Noriko より:

      Ayakoさん
      長く滞在出来ることになったのですね。おめでとうございます!
      手続きを主導で進めるのはチェコ人であるお相手になると思うので、頑張ってもらわないといけませんね〜。Ayakoさんが日本で準備する書類は申請さえすればすぐ手に入るものばかりなので安心してください♪
      煩雑な婚姻手続きではありますが、少しでもスムーズに進みますように!

  4. AYAKO M より:

    NORIKOさん
    こんにちは!
    …。
    ホントに大変ですね、国際結婚の手続きって。
    在日チェコ大使館には3回メールを送って返事なし、12回電話してやっと繋がって返事をもらいました(でもあんまりわからなかった…)。
    必要書類に関しては彼に地元の役所で聞いてもらったのですがチェコ内務省のHPを案内されただけでした。
    それに比べて!
    在チェコ日本大使館と私の本籍地のある役所はすぐに返事をくれました(さすが日本のお役所)!
    最終的には彼の地元の役所の担当者の裁量によるのかっていうニオイがしてきて泣けてきます。

    今日コメントを入れさせていただきましたのは、どうしてもわからないことがあるので教えていただけたらと思いまして。

    NORIKOさんは在チェコ日本大使館で「離婚証明書」を取得されたとのことですが、その際チェコ外務省でアポスティーユを取得されたと思います。
    このアポスティーユには法定翻訳人による翻訳を付ける必要がありましたか?

    「出生証明書」にあたる「戸籍謄本」を翻訳して提出されたと思うのですが、これにはご自身のお母さまの旧姓の記載が必要でしたか?
    またはお母さまの旧姓をどこかに記載する必要がありましたか?

    あと一つすみません。
    国際免許証などの提示は必要ありましたか?

    NORIKOさんが結婚なさったのは少し前なのでルールが変わったかもしれませんし不確かな部分もあると思います。
    ですがあまりの情報のなさと知り合いのドイツ人のおせっかいのせいで(ドイツではこうだよ、と教えてくれるんです)混乱してしまい本当に困っています。

    長文とたくさんの質問攻めで申し訳ありませんが、教えていただけたら助かります。

    宜しくお願いします。

    AYAKO

    1. Noriko より:

      AYAKOさん、こんにちは。お答えします。

      Q.このアポスティーユには法定翻訳人による翻訳を付ける必要がありましたか?

      A.元の書類(在チェコ日本大使館で発行してもらった離婚証明書)がチェコ語で書かれていたので、翻訳そのものが必要ありませんでした。
      貰った書類をそのまま外務省に持って行っただけです。

      Q.「出生証明書」にあたる「戸籍謄本」を翻訳して提出されたと思うのですが、これにはご自身のお母さまの旧姓の記載が必要でしたか?またはお母さまの旧姓をどこかに記載する必要がありましたか?

      A.母親の旧姓はどの書類にも必要ありませんでした。

      Q.国際免許証などの提示は必要ありましたか?

      A.必要ありませんでした。というか、私免許持っていないので…。
      身分証明は度々必要でしたが、毎回パスポートのみでした。
       
       
      おっしゃる通り、お役所の担当者次第だと思います。もう担当者に言われるがままに心を無にして書類を集めるのみ(笑)。
      チェコで結婚されるのでしたら、在日チェコ大使館とやりとりする事は今後特に無いはずです。私も一番最初に問い合わせの電話をしましたが、「チェコで婚姻するならこちらで出来ることは何も無い」と言われて、確かにその通りでした。
      婚姻の書類集めが一番面倒なところなので(ビザ申請は楽!)、気長に頑張ってくださいね☺️

  5. AYAKO M より:

    NORIKOさん

    ありがとうございました!
    大変助かりました!
    まあ担当者によって言うことが異なるかもしれませんが色々と本当に参考になりました。
    (特に母の旧姓について)
    いちおう母の戸籍謄本も取っていこうかなと思っていますが、必要と言われたら出すという程度のお守りにしておきます。

    また泣きそうな問題に直面したらお尋ねするかもしれません!
    その時は宜しくお願いします。

    AYAKO

    1. Noriko より:

      AYAKOさん
      そうですね、渡航後に取り寄せるのは大変なので、必要になる可能性のある書類は全部持って行った方が良いですね!面倒だけど・・・。
      私の経験した事であれば答えられるので、また困ったことがあればいつでもどうぞ 🙂

  6. AYAKO M より:

    NORIKOさん、こんにちは。
    今、チェコ共和国内、かなり右端近くの町にいるんですが。
    ものすごくあっけなく簡単に手続きが進んでしまいました。
    事前に彼が役場に行ってくれてたっていうのもあるんですが、私が役場の担当官に会って5分くらいで「こことここにサインして、はいOK。じゃ次は結婚式当日ね~」。
    現住所と戸籍謄本の住所が違うのも「これは日本独特のシステムで」と言ったら「あっ、そうなの?じゃいいわ」で済んでしまい、一応準備した住民票記載事項証明書とアポスティーユ、英語訳は全く不要でした。
    外国人警察も「もう閉まります~」って時間に行ったのに「しょうがないわね、パスポートは?」「これです」。
    なんか書いたあとハンコ押して「ハイ、OKね~、次は結婚式の1週間前ね~」
    むっちゃくちゃユルくて彼が言ってた「2週間あれば結婚できるよ!」がこの町では嘘ではない感じがします。
    私の書類を役場に出す前に結婚式の日の予約も出来たし。

    でもまあ。
    NORIKOさんから「チェコでの結婚は情報も多くなく大変だ」と教えていただいていて予め万全の準備をしておいたのでスムーズに行ったのだと思います(ホントびくびくしながらあれはいるのか?これはいるのか?と悩みましたし)。
    それと役場の担当者の采配によるところも多いのかな。

    まだまだやらなくてはいけないこともたくさんあるのでまた何かお聞きするかもしれません。
    その際にはまたいろいろ教えてください。

    ありがとうございました。

    1. Noriko より:

      AYAKO Mさん
      入念に準備されていったのですね。お役所によって違うという一例が伺えて参考になりました。楽なパターンで本当に良かったですね!
      書類の提出が済んでホッとされたのではないでしょうか。あとは結婚式を待つだけですね。おめでとうございます!

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