ずっと英語が苦手だった30代が日常会話レベルを習得するまで(2/2)


前回のポストの続きです。

レッスンを辞めたあと

文法の基礎がしっかり身に付いたので、あとは「ボキャブラリーを増やし」つつ「実践」。この時点では、知識が頭に入っただけで、まだアドリブでの会話は全く出来ませんでした。

レッスンを受けていた頃から、英語で話せる(トークはまだ恐かったのでメールやチャット)相手を見つけて話していました。
相手を見つけるには、言語交換のアプリ・ウェブサイトなどもありますし、国際交流イベントに行くのも良いでしょうし、度胸があれば旅行者に話しかけてみるのも良いかもしれません。英会話教室に行くというほぼ一択だった時代に比べて、今は本当に手軽に英語を学ぶ手段があります。個人的には、全くの無料よりも自分の身銭を切った方が、サボるのがもったいないのでヤル気に繋がります。
 
〈広告〉スマホひとつで、毎日の英語習慣を。【 HiNative Trek 】

わたしは言語交換パートナーを募集できるサイトで知り合った何人かと、LINEやメールでのやりとりを毎日していました。個人レッスンを辞めてからは、正直「勉強」したっていう感覚は全然なくて、彼らとの何気ないやり取りが最高の勉強になっていたと思っています。座学だとすぐに飽きてしまうわたしが続けられたのは、日常の延長で会話する事が楽しかったからです。

文法学習だけではなかなか知ることができない状況に合わせた言い回しも、話の中から自ずと覚えられました。
例えば、それほど親しい間柄でない相手に「あなたの家に泊めてもらえませんか?」とお伺いをたてたい時、「Can I stay at your place?」でもいいけれど、「I was wondering if I could stay at your place.」の方が好ましい、みたいなどちらでも通じる場合により適した方を自然に言えるようになりました。(そもそも、勉強前のわたしだったらatでなくinを使っただろうし、placeではなくhomeと言っていたと思います。)

英会話教材に載っている文章でも、どういう状況で使えば自然なのかは実践の会話で覚えるのが一番間違いがないし、一度聴いただけでも強く記憶に残ります。

会話の中で知らない単語や言い回しが出てきたらその都度調べはするものの、単語帳なんかを作っても面倒で使わないのはわかっていたので、頻出する単語だけが自然と頭に残って行った感じです。最初は短いメッセージを書くのに辞書を引いたりして10分かかっていたのが、徐々に長いものでも1分で書けるようになりました。

 
言語交換パートナーと音声のやり取りをするのも効果がありました。映画の英語では早口過ぎて理解出来なかったり、教材のオーディオは内容がつまらなかったり、続けるには固い意志が必要ですが、知っている人との会話だったら自分に話しかけてくれているので飽きることもありません。
まだスカイプで話すのは恐かったので手を出せませんでしたが、LINEのボイスメッセージなどなら聞き取れなかった箇所を何回も聞くことができるので、初心者には向いていました。

わたしは自分が耳が悪い(音を理解する能力が低いという意味で)と思っているので、単語を覚える時もスペルを見ないと覚えられないのですが、耳の良い(例えば歌が上手かったり絶対音感があるような)人だったら、聴くことから入った方が断然早いと思います。

 
唯一、失敗したと思うのは、ネイティブのパートナーを作らなかったこと。
ネイティブの方が文を省略したりスラングを多用するので、初心者のわたしにはハードルが高く避けていました。今思えば、相手が悪かっただけで、きちんとした文章で書いたり話したりしてくれる人は探せばいると思います。ネイティブからイディオムや正しい発音を盗むべきでした(それが最近になって苦労していること)。

テキストでのやり取りをスムーズに出来るようになるまで3ヶ月ほどかかりました。
新聞を読むのはまだ難しかったけど、メールのような日常の読み書きは問題がなくなり、リスニングも少し出来るようになっていました。ただ、この頃はまだスピーキングとなると無口になっていました。

 

話せるようになるまで

書けるのに話せない、というのは、言い方が分からないのではなく、文章を頭の中で組み立てるのに時間がかかることが原因だと思います。
とにかく読み書きは毎日言語交換パートナーとしていたので、そのスピードが話すのと同じくらいになった時、徐々に声に出す事が出来たり、自然にリアクションが出来るるようになりました。

ただ、話す機会がないと本当に話せるようにはなりません。
わたしはこの頃から積極的にカウチサーフィンでゲストを受け入れるようになりました。プロフィールに「英語が流暢ではないので迷惑をかけるかもしれないけど、上手くなるよう勉強中です」と書いておけば、みんな優しいので練習相手になってくれました。

わたしの感覚ではせめて週に一回は口に出して話す機会がないと鈍ってしまうと思っていて、それくらいのペースで色々な国の外国人と会うようにしました。京都に住んでいたため幸い外国人ならいくらでもいて、ベタな観光地巡りだけでなく、日本人の考え方を聞きたいと思っていたり地元民に人気の店に行きたいと思っているような旅行者に街を案内することが多かったです。
日常に必要な会話力はここで付き、2〜3ヶ月経った頃には、初対面の外国人と英語で話すことに不安がなくなりました。

週に一回でもイングリッシュスピーカーと話す機会を作ることは、毎日家でテキストで一人で勉強しているより確実に役に立つ英語が身につくと思います。しかも、楽しいので無理することなくモチベーションをキープできます。

ここまでが最初に英語のレッスンを受け始めてから1年と少し。
「英語話せたらいいだろうな〜、でも出来るわけないわ〜」と過ごしてきた人生は一体なんだったのかと思うほど世界が広がりました。正に物理的に。

 

英語を話すパートナーとの暮らし

今の夫ペトルとの会話は英語中心(時々カタコトの日本語とチェコ語)です。

毎日英語に触れてるんだから上手くなるでしょう、と思われるかもしれませんが、全く逆です。
ペトルがネイティブ並みに英語が上手ければ違うのでしょうが、わたしよりやや上というレベル。しかも、文法が苦手なので、気をつけていないと彼の使う間違った文法がわたしにまで伝染します。

ヨーロッパ(英語圏以外)の「“自称” 英語話せる」人って映画やテレビから自然と学んだ人が多く、文法を知らなくてもなんとなくリーディング・リスニングが出来てしまう人が多いんですよね(きちんと勉強して綺麗な英語を話す人ももちろんたくさんいます)。
チェコ人のペトルがリーディングが得意なのは、ネットで検索する時にチェコ語だけだと結果が少ないから英語で検索するため。リスニングは英語のポッドキャストを聴いているうちに分かるようになったそうです。聴いてるうちに分かるようになった、って日本人ではありえないので羨ましい。
逆に日本人のわたしは、文法はきっちりしているので、メールを書けばまるで流暢な人みたいだけど、話すと発音が下手だし、リスニングは苦手。それぞれ得手不得手があって、とにかく二人とも優秀なイングリッシュスピーカーではありません。

それに加えて、ペトルと付き合うようになってから他のイングリッシュスピーカーと話す機会が激減したので、きちんとした英語に触れる機会がなくなりました。外国に住んでいるのに英語は下手になる一方です。

 

最近していること

難解なチェコ語を勉強し始めると、英語のシンプルさが身に沁み、英語の練習が今までより楽しくなるという思いがけない効果が現れました。

今の一番の目標は「映画をきちんと理解できるようになること」。チェコにいると日本語字幕で観ることはできないので、映画館に行くのが一番の趣味であるわたしとしては死活問題です。
現状は、「映画によってかなり分かるものもあれば、チンプンカンプンのものもある」という感じ。(そこで気づいたのは「映画ってセリフが分からなくてもストーリーは分かるようにできてる」ということだったりするのですが・・・)

しかし、細かいニュアンスが分からないのは残念なので、最近はひたすらリスニングの練習をしています。英語音声+英語字幕だとほぼ理解できるので、わたしの問題は、知っているはずの単語を聴き取れていないことなんですよね。

英語のインタビューを聞いたり、短めの映画を見たり。難しいものは、聴き取れなかった箇所を後で確認できるように、出来るだけ英語の字幕をオン・オフできるもの、または別にスクリプトがあるもの。まだ自分が聴けるようになったわけではないので、この方法が効果があるのかは未知ですが・・・。
7割以上理解できるレベルのものだったらただ聞いているだけでも楽しいし、話す人によって全然違うので、たくさん分かって調子に乗ったり、全然分からなくて落ち込んだり、色々です。
大好きなジョゼフ・ゴードン=レヴィットの動画はめちゃくちゃ観たので、彼の英語は理解できるようになりました。それでいいんです。好きな俳優のインタビューを分かるようになるのが動機の一つだったので。その点では目標達成です。




 
勉強を始めるまでは、どうやったら話せるようになるのか想像もつかなかったのですが、今なら「継続さえすれば誰でも話せるようになる」と自信を持って言えます。

大事なのは勉強方法よりも、継続できる方法を見つけること。

だってしんどいですもん、忙しい毎日の中で勉強するの。英語話せなくても生活に困るわけじゃないし。とにかくラクに楽しく英語に触れられる方法を探すのがわたしの唯一の道でした。

わたしはたまたまモチベーションがガッと上がるタイミングがあって、その時に良い先生と根気強く付き合ってくれる言語交換パートナーやカウチサーファーたちに出会ったのが幸運でした。語学ってそもそもコミュニケーションの道具なので相手がいてこそです。教材と向き合っての勉強だったら絶対に続いていませんでした。

 
「英語どうやって勉強したの?」とよく訊かれるので、少しでも誰かの参考になれば、と思い自分の体験を書きました。まずは、SNSなどの短いコメントから英語に触れてみるのでも十分です。だってビジネスで使う訳でもない限り、実世界でもSNS的な短い言葉のキャッチボールが中心なんですから。

アラフォーに差し掛かった頃にあんなに苦手だった英語の楽しさを知るなんて、人生何が起こるか分かりません。
ベタですが「新しいことや今まで苦手だったことに挑戦するのに年齢は関係ない」って本当なんだな、って身を持って感じることができたのも英語の習得と同じくらい大きな収穫でした。

 


2 Replies to “ずっと英語が苦手だった30代が日常会話レベルを習得するまで(2/2)”

  1. junjusia より:

    ポジティブに英語に取り組めてるNorikoさん尊敬です!
    私は別言語にハマってからあれだけ(?)頑張ってた英語への熱量がグーンと減り、「ま、いいか。意思疎通図れるし、ネイティブレベル求めなくても生きていける」とほぼ学習放棄。脳が別の外国語を受け入れられなくなり相当英語が腐りましたが、最近は英語脳なので別の外国語が腐り始めてます。ああ、どっちも勿体無い。

    彼との会話はほぼ英語ですが、相手のボキャ数と英語能力が断然上なので、いつも「そうそう、それが言いたかったのよー!」と調子よく助けて貰ってます…。とほほ。

    私も日本にいたときはカウチサーフィンでホストしてました!おお、共通点!
    こっちでもやりたいのですが、今の住まいは狭いのでリビングのソファしか空けられず、彼はカウチサーフィン慣れしてないし予定がコロコロ変わる人だから受け入れづらくて、未だ実現せず。
    カウチサーファーって面白い旅をしてたり、思想が自由な人が多くて本当に楽しかったです。
    逆に私も遊びに行ったりして、ローカルとディープな出会いができたのは宝です。

    1. Noriko より:

      いやいやいや、私は日本語・英語プラス他の言語を操れる人を尊敬します!
      私は、英語上達したいと思いつつ、英語やってるヒマあるならチェコ語をなんとかしなさいよ、と頭の中で葛藤しています。ま、どっちも真面目にやればいいんですが(笑)。

      カウチサーフィン使ってたんですか!この共通点は珍しい!
      なるほど、同居人がいると都合付けづらいですよね。私は今の家では空きベッドもあるし、「Maybe Accepting Guests」にしているのですが、如何せん観光客が来るエリアじゃなくて。受け入れる気は満々なのに、まだ一度もリクエストを受けたことがありません(泣)。まぁ、チェコに来て日本人の家に泊まろうとは思わないですよね。よほど日本贔屓とかで無い限り。
      私も今まで出会ったカウチサーファーからは本当に良い刺激受けました。楽しいですよね、カウチサーフィン。

ただいまコメントは受け付けていません。

コメントが表示されるまで数日要する場合があります。