チェコでアジア人差別はあるのか


 
あるか無いか、で言うなら「無い」と言っていいと思います。「無い」というより、考える機会もない、と言ったところでしょうか。日本人が日常で人種を意識することが無いのと同じだと思います。
(※わたしの住んでいる人口1万人の小さな街での感覚です。プラハなど観光客の多い街では外国人の数が全く違うので感覚も違うはずです。)

チェコでアジア人といえば、ベトナム人が一番多く、ベトナム人が営んでいる雑貨屋やレストランはどこにでもあります。チェコ人も普通に利用していますし、ベトナム人の店で雇われているチェコ人もいるくらいなので、本当に差別は無いのでしょう。

若い世代のベトナム人はチェコで教育を受けているので、子供だと人種が入り混じったグループも見かけますが、ペトル(32歳)は学生時代にアジア人のクラスメートがいたことは一度もなかったそうです。

実際、ベトナム人グループがレストランで食事していたり、服などのショッピングしてる姿ってあまりみないんですよね。もちろんいるにはいますが、住んでいる人数に対して圧倒的に少ないような気がします。ホスポダ(居酒屋)でビールを引っ掛けてるベトナム人とか見たことがありません。
彼らは彼らのコミュニティの中で生活が完結しているのでしょうか。ベトナム人と知り合う機会があったら「普段どこにいるの??」と聞いてみたいほどわたしにとっては謎です。

そんな感じなので、チェコ人からするとベトナム人は「お店の人」、それ以外のアジア人は「観光客」で、アジアの国々は遠過ぎて生涯行くこともないし、差別以前にとにかく接点がない、という感じだと思います。

しかし、先日、初めて「これは人種差別か?!」と思った出来事がありました。

家の近くをペトルと歩いていたとき、犬を散歩させているおじいさんが前方をゆっくり歩いていたので、私たちはその犬とおじいさんを追い越しました。その時に、おじいさんが犬に向かって「気をつけろ。あいつらにスープにして喰われるぞ。」という意味のことをチェコ語で言ったんですよね。

たぶんおじいさんは私だけが目に入って、(アジア人のパートナーはアジア人であるパターンが多いから)隣りにいるのがチェコ人だとは気づかずにこちらにも聞こえるほどの大きな声で言ったんだと思います。

それがレイシスト発言なのか冷静に考えてみたのですが、いくら下品な人でも通りすがりのチェコ人に向かってそれは言わないと思うので、わたしがアジア人でしかも言葉がわからないと思ったから言ったんだろう、という結論に落ち着きました。

なるほど、「アジア人=犬を食べる」というイメージがあるのか、と変なところに関心しましたが、やはり良い気分では無いですね。この出来事のあと、しばらくモヤモヤしました。

もう一度あのおじいさんに会ったら言いたい。「日本人は犬は食べないよ~」