チェコの「公現祭」 3人のキングが訪れクリスマスが終わる日

1月6日はキリスト教の「公現祭」です

イエス・キリストが生まれたのがクリスマス。その2週間後の1月6日は、3人の賢人が東方から贈り物を持ってイエスのいる馬小屋を礼拝に訪れ、イエスが神として公現した(人々の前に現れた)日とされています。

チェコ語ではその3人の訪問者、またはその日のことを「トゥジ・クラーロベー(Tři králové=3人のキング」と呼びます。日本語Wikiによると「東方の三博士」または「東方の三賢人」。

日本では公現祭は馴染みがありませんが、キリスト教徒にとってはクリスマスと並んで重要な日だそうです。チェコは昔はキリスト教国でしたが、キリスト教徒が少なくなってからは、長年この行事は一般に行われていなかったそうですが、2000年にオロモウツ市が再開したのを皮切りに、キリスト教の伝統とは違う目的を持ってこの行事は再び行われるようになりました。公現祭の様子と、その目的についてご紹介します。

 

公現祭の日にすること

当日街を歩いていると、紙の冠をかぶってマントを羽織りキングに扮した三人一組の可愛らしい子供たちを見ることができます。


 

チェコの有名なイラストレーター、ヨゼフ・ラダによるこの日の様子を描いたイラストもあります。

 
彼らは、近所の家々を訪ね、「My 3 králové jdeme k vám(我ら三人のキングはあなたの元へ)」という歌を歌います。

 

行事が再び行われるようになった目的

歌い終えると子供たちは寄付のためのお金を貰います。これが、現在無宗教のチェコ人がこの宗教イベントを続けている理由の一つです

昨年は、チェコ全体で 104,425,895Kč(約5億5600円)もの寄付が集まったとのこと。とても大きな金額ですね。
使い道は地域によって違います。わたしの住む人口1万人の街では、昨年100万Kč(約500万円)が集まり、老人ホームの建物・車購入の一部にしたり、ハイチやウクライナへ送ったりしたそうです。

 

「K † M † B」の意味

最後は、玄関のドアに訪問があった記しとして「K † M † B 2018(その年の西暦)」と書き残していきます(子供が書けない場合は、付き添いの大人が代わりに書きます)。


 
「K † M † B」の意味には、二つの説(または両方共)があるそうです。

一つは、ラテン語の「Christus Mansionem Benedicat(訳:May Christ bless this house)」から。
(「Christus(キリスト)」はチェコ語で「Kristus」と綴るため、頭文字はCではなくKに。)

もう一つは、3人のキングのイニシャルから、
K=カシュパル Kašpar(Casperと綴る国ではC)
M=メリハル Melichar
B=バルタザル Baltazar

画像検索でヨーロッパの色々な国の玄関の文字を見てみたところ、チェコで「K」の部分は、多くの国では「C」でした。

チョークで書かれたこの文字は、だいたいは次の年まで残されています。当日は、住宅街を歩いていると既に2018に書き換えられた家もあれば、まだ2017のままの家もありました。

 
街で可愛らしい子供たちを見たあと、あまり可愛らしくないキングも見かけました。レストランで食事をしていたら、キングの扮装をした成人男性3人が入ってきて、バリトンボイスで歌を歌って、キングの姿のままビールを飲んでいました(笑)。

 

クリスマスの終わり


 

キリスト教の暦では、「12月25日 降誕祭(クリスマス)」から「1月6日公現祭の次に来る日曜の翌日」までを降誕節と考えているため、クリスマスツリーやデコレーションを片付けるのもこの頃です。キングの訪問があったあと数日以内には片付ける家が多いようです。

これにて、アドベントを含めて1ヶ月以上に渡るチェコのクリスマスシーズンがようやく終わりです。
 
(公現祭の歴史や具体的な数字は、チェコTVの特集番組やチェコのニュースサイトより)