母国語の違うパートナーを持つということ

だいたいの国際カップルは、「日本語」「相手の母国語」「その他の共通言語」のいずれかを使って会話していると思います。言葉が全く通じないのに恋に落ちてしまい付き合い始める人もいるとは思いますが、その場合でも将来的にはいずれかの言語を取得するでしょう。

わたしとチェコ人の夫ペトルは「その他の共通言語」である英語でほとんどの会話をしており、お互い相手の言語(日本語とチェコ語)をマイペースに勉強はしているものの、込み入った話をするレベルには達していません。

一番リラックスして話したい相手と母国語で話せないのは大変じゃない?と聞かれることがあります。実際どうなのか、また、相手の言葉を話せるようにならなければいけないのか、わたし自身、付き合いはじめの頃とは考えが変わったので、そのことを書きたいと思います。

 

 
付き合い始めの頃は、「母国語」もしくは「ネイティブ並みに流暢な言語」でコミュニケーションが取れないと長く付き合っていくのは難しいのではないかと考えていました。思っていることを存分に話せなくて鬱憤が溜まるのではないか、ということです。

わたしとペトルは、二人とも英語が完璧に流暢ではないため、この後の人生を英語のみで過ごすには限界があるだろうと(わたしが勝手に)思い、いずれはチェコ語か日本語のどちらかに移行すべきだと考えていました。

しかし、現在出会ってから2年近く経ち、二人の間の会話に関しては不自由なことが全くと言っていいほどありません。英語が完璧で無いにも関わらずです。語彙が十分で無いことと、思っていることを伝えられない、ということは関係ありませんでした。

思っていることが話せないかも、という心配は、言語の壁ではなく相手次第です。
日本人のパートナーでも相手が聞く気が無ければ意思の疎通がはかれませんし、外国人パートナーとカタコトの会話でも相手を理解したいという意思があれば気持ちは通じます。

心底そう思いました。
 
とはいえ、相手の言語を勉強しよう、とまずは挑戦する方が多いと思います。わたしもそうです。話せればもちろん便利ではあるのですが、「元々興味のなかった言語を恋人のためだけに一から勉強する」というのは良し悪しな面があると気づきました。やり方によっては簡単に険悪なムードに発展するからです。

例えば、わたしがチェコ語で分からないことがあった時、身近にいるペトルに聞きます。ペトルはもちろん一生懸命教えてくれますが、彼はチェコ語を教えるプロではありません。母国語だからこそ説明できないことがあるのは日本語に置き換えてみると想像できると思いますが、頑張って教えてくれているのにわたしには理解できないことが多いのです。逆の立場でも同じで、わたしも日本語に関する質問を受けた時は嬉しいので饒舌になって説明するのですが、自分では上手く説明できたつもりでも彼は腑に落ちていないことが多々あります。

「そんなこと言われても分からない」と「そんなことも分からないの?」がジワジワ溜まってくると微妙な空気になります。

パートナーとして普段は対等なのに、言語に関しては大人と赤ちゃんレベルの差があるため、劣等感を感じてしまうのです。
 
言語習得にはその国の恋人を作るのが上達の近道と言ったりしますが、ポジティブな気持ちだけで元々興味があったわけでもない言語に取り組むのは難しいのだなぁ、と気づきました。

わたしたちはどちらの母国語でもない第三の言語を使っていますが、もし、相手の言葉を話すしか選択肢が無い、とかだとまた違った苦労があるのだろうと思います。もしかしたら、どちらかの母国語に寄せるより、第三言語を使うことは対等な関係を保つという点では良いのかもしれません。

 

 
相手の言語を勉強することは、相手の家族・友人とのコミュニケーションや、移住するなら家以外での活動に役立つので、ある程度は出来た方が行動範囲を広くするという意味で便利だと思います。それがモチベーションになるのであれば勉強もはかどると思います。(ただ、恋人を先生にするのではなく、本職の先生に習った方が良いと思います。)

しかし、二人の間のことに関して言えば、お互いの母国語が必ずしも必要ではないのだと開き直ることができました。たまたま好きになった人が違う母国語を持つ人だっただけなのですから。

『相手の言葉を習得すべき』と気負う必要はありませんでした。
思いやり次第で言語の違いは全く気になりません。

 
自分が一番スラスラと話せる言語である日本語でペトルとペラペラ話すことは一生無いのかなぁ、と考えるとふと不思議な気持ちになったりもしますが、彼が耳を傾けてくれる限りは日本語もチェコ語も必須ではないと思うようになりました。
 

(わたしがチェコ語に苦手意識があるのに対して、ペトルは日本語が大好きなので、いつかピーター・バラカンさんみたいになって流暢な日本語で会話できる日が来るかも?!と秘かに思い描いています。)

2 Replies to “母国語の違うパートナーを持つということ”

  1. ゆうこ より:

    こんばんは。先日メールさせて頂いた、ゆうこです。両親がチェコ行きを応援してくれるようになりました!彼が私の両親に手紙を送って、なんだか、それが父に響いたようです。来年はチェコに遊びに行くと言っています!心のつっかえがやっと取れた気持ちなので、チェコ語頑張って勉強します!ですが、読みにくいし、発音できないし、理解するのにもとっても時間がかかるし、果してチェコ語話せる日がくるのか不安です、、
    でも、始めたばかりなので頑張ります!
    本当にありがとうございました^ ^
    ゆうこ

    1. Noriko より:

      ゆうこさん、こんにちは。わぁ〜良かったですね!お手紙とはナイスです!ご両親の気持ちを動かすなんてよほど気持ちのこもった文章だったのでしょうね。ゆうこさんの心配事が解決して本当に良かったです。あとはチェコ語を勉強しながら渡航を楽しみに待つだけですね♪良いお知らせをありがとうございました。私もとても嬉しいです 🙂

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