チェコの「聖マルティンの日」は民族衣装の行列


 
11月11日は「聖マルティンの日」でした。
この日は、ハーベストシーズンの終わりを労い、冬の始まりを祝う日として、チェコ各地で様々な行事が行われます。

昨年の記事はこちら

街によって行事の内容は違い、この日のシンボルである白馬に乗った聖マルティンが行進を行ったり、夜に子供がランタンを持って歩いたりするのがポピュラーです。

私の住む街では、「マルティンスキー・ホディ(Martinský hody=マルティン祭り)」と題した民族衣装「クロイ(Kroj)」のパレードが二日間に渡って行われます。

 

パレードに参加出来るのは、普段から民族音楽やダンスを行なっている人たちなので、毎年、大体同じ顔ぶれが同じ衣装を着て同じ歌を歌っているわけですが、違うのはパレードを率いる「スターレク(Stárek)」と呼ばれるリーダー役の若者二人。彼らは、一年に一度投票で選ばれ、毎年違う男子が務めます。同じ年頃の女の子も二人選び、二組のカップルとして(実際に恋人同士である必要は無い)その年の行事のリーダーを担います。

黄色いパンツの二人が今年の主役(他の男子は全員紺色のパンツなので一目で違いが分かります)。日本のお祭りでもこういう役割ってありますよね。さぞ名誉あることなのだと思います。


 
聖マルティンの日は、今年仕込んだワインを初めて開栓する日でもあります。特にワインの有名なモラヴィア地方では、新しいワインをいただくイベントを行なっているワイナリーやレストランが多くあります。
皆が手に持っている可愛らしい縦長のバッグはワインボトル専用。呑みながらの行進です。


 
一日目、土曜の行進は、距離が短くすぐに終わるのですが、二日目の日曜は、スタートからゴールまで約3時間もかかります。ただ歩いているだけではなく、途中で女の子を迎えに立ち寄ったり、そこで歌ったり、踊ったり、お菓子が配られて食べたり、と盛り沢山な3時間。わたしも含めたギャラリーの人々は、沿道で見るというよりは、行列と一緒に移動していました。


 
5年前のものですが、正にこの街のこのお祭りがテレビで紹介されている映像がありました。ナレーションはチェコ語ですが、歌や踊りの様子が見られるので、雰囲気がより分かるかと。


 
パレードの最後には、広場で男性たちがガチョウ(本物)を全力で奪い合う激しいイベントがあります。その由来は、

ガチョウを食べる理由として、かつて聖マルティヌスがトゥールの司教を依頼されたもののその気になれず、使いに見つからないようにガチョウ小屋に隠れていたのを、ガチョウが騒ぎ立てたために見つかってしまい、結局司教に就任せざるを得なくなったため、「罰」として、ガチョウを食べるようになったというエピソードがある。

Wikipedia:「聖マルティヌスの日」『ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典』
最終更新 2017年11月11日 (土) 23:45 、URL: http://ja.wikipedia.org

とのことですが、ガチョウにしたらとんだとばっちりですね!

ちなみに聖マルティンの日前後は、多くのチェコ料理レストランでガチョウを使った料理をいただけます。最近は、レストランがガチョウを買い占めるので、なかなか一般家庭に回らないのだとか。


 
聖マルティンの日は、初雪が降る日とも言われていますが、年々暖かくなっており、この日に雪が降ったのは2007年が最後とのこと。とはいえ、この日辺りから一気に気温が低くなりました。初雪も11月のうちには見られるでしょう。