チェコの藍染工房を訪ねる

チェコ藍染の工房を訪ねました。

チェコには伝統的な藍染があります。
藍染は、チェコ語で「モドロティスク(modrotisk)」。「modré=青い」と「tisk=印刷」が合わさった言葉です。

チェコの藍染は以前は大きなマーケットだったそうですが、現在は国内で2軒の工房しか残っていません。そのうちの1軒、スロバキアとの国境に近い街ストラージュニツェ(Strážnice)にあるショップ兼工房へおじゃましました。

ストラージュニツェは、伝統民族衣裳が有名でもあり、駅からすでに可愛いくてたまりません。ストラージュニツェの街の様子は以前のポストにて。

 
工房は、駅から10分ほどの住宅街の中に。藍染の柄を模した大きなタペストリーがあるのですぐに分かりました。

 
まずはショップへ。
写真の右の方に写っている素朴な顔の人形が可愛くて!悩んだ末に買わなかったことを今後悔しています。オリジナルテキスタイルを使った商品はもちろん、生地のみで買うこともできます。

 
買い物を済ませて、工房へ。解説付きの見学は30Kč(約150円)。

藍染は、地域・工房によってオリジナルの柄があります。周りに自然が豊かなので、やはり木や草花をモチーフにした柄が多いとのこと。この工房のオリジナル柄の一番古い型は約200年前に作られたそう。今でもその型は現役です。
ちなみに、この型はオーダーすれば誰でも好きな柄を作ることができます。値段は一つ5,000Kč(約25,000円)から。一度型を作れば、工房の続く限り自分の柄を染めてもらうことができます(もちろん生地代・作業台は必要)。夢がありますね〜。

 
ハンコを押す要領でペタペタと模様を押しています。版の四隅に角を合わせる印が付いており、ずれることなく連続した柄を押せるそうです。

 
1週間乾かします。薄緑色の柄が、仕上がりでは白く抜ける箇所です。

 
乾いたら、この染料のプールに浸けます。なんと深さ2mもあるそうで。足を滑らせて落ちたら頭の先まで藍色に染まるのかな・・・。職人さんが平気で淵に足を掛けたりするのでヒヤヒヤしました。

 
5分浸ける→5分乾かす、を5回繰り返します。タイマーを使って手作業です。

 
しっかり藍色に染まれば、洗濯機で洗ってアイロンを掛けると最初に型押しした緑色の部分が落ちて、白い柄として現れます。

 
スカートとクッションと鍋つかみを自分用に、あとはお土産に小物をいくつか買いました。

 
わたしがこの工房の商品を初めて見たのは、ブルノにある民族工芸品を取り扱う「Tradice」というお店でした(情報は後述)。丸いカタチの鍋つかみを買いました。鍋つかみなのですが、カタチがちょうど良いのでマグカップに乗せて埃を防ぐカバーとして愛用しています。

その後、近所であった伝統的なお祭りで、すごく素敵な藍染のミニスカートを履いている女性を見かけました。その時は、どこで買えるものか分からなかったのですが、後日、別の用事でストラージュニツェへ行き、この工房の存在を知りウェブサイトを見て「あっ、あの時のスカートだ!」と思ったのでした。わたしが今回買ったスカートはその女性が履いていたミニではなく、膝が隠れる長さですが。(年をとってもミニスカートが似合うチェコ人とは体型が違うので・・・)

そんなわけでわたしにとって念願の工房訪問だったのでした。うちから距離は近いのですが、平日しか空いていないのでなかなか都合が付かなくて。

 
この工房は家族で営まれています。親族以外の職人さんが1人いるのみで、あとは全員親戚だそうです。工房には作業をしている若い娘さんがいたので後継者の心配はいらないのかな?
どこの国も似たようなもので、若い世代は伝統工芸に興味が薄く需要が減っています。しかし、もちろん良さが分かる人は国内外問わず一定数はいるもので。この工房がデザイナーとコラボして作った洋服はすごくかっこいいし、こういう手作りで味わい深いテキスタイルは日本人女性にも好まれますよね。
たった2軒が引き継いでいるチェコの藍染が末長く残るよう願います。

 
「Strážnický modrotisk」
J. Skácela 1547, 696 62 Strážnice
http://www.straznicky-modrotisk.cz
月・火・水・金 9.00 – 11.30/12.00 – 16.00
木 9.00 – 11.30/12.00 – 14.00
土日祝休み

 

「Tradice」(ブルノの伝統工芸品店。超人懐っこいレトリーバーの看板犬がいます。)
Slovákova 4, 602 00 Brno
http://www.ceska-tradice.cz
営業時間は分かりません。定休日はたぶん土日祝。

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4 Replies to “チェコの藍染工房を訪ねる”

  1. junjusia より:

    工房見学楽しそうですね!手仕事を見るのが好きなので、いつか訪れてみたいです。
    Norikoさんが購入したスカートも素敵!きっとよくお似合いになるんじゃないかと。
    チェコでも伝統工芸が減っているとは残念ですね。ポーランドでも手仕事の良さって、近代化と共に廃れてきているような印象があって、中々に寂しいです。

    1. Noriko より:

      ほんと見学出来てよかったです。どうやって作ってるのか見ると余計に愛着が湧きますし。チェコ人にはあまり人気が無さそうなので、せめて外国人の私が!と謎の使命感で色々買ってしまいました。
      私としてはチェコの新しいチープなものより、出来ればこういう地元産のモノを買いたいのですが、人気ないから売ってるところが無いという。完全に無くなってしまったら手遅れなのに!どこの国でも手仕事は減ってきているのですね。

  2. 初めまして。
    たまたまこのブログの藍染のページを見つけ、今夢中になって他のページも拝見させて頂いております。私も現在チェコのオロモウツに住んでいます。この藍染、本当に可愛いですね。大学生なので、冬休みに平日時間が出来るので、行ってみたいと思います!

    1. Noriko より:

      はじめまして。コメントありがとうございます!
      オロモウツにお住まいなんですね。一度行ったことがありますが、文化的だし、街のサイズ感もちょうど良くてとても好きな街です。
      藍染工房、とても素敵でした。混んでいなければアポ無しで行っても見学させてもらえますが、心配だったら予約した方が良いかもです。とても親切にしてもらいましたよ。

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