【チェコ移住】ビザ取得の条件とメリット・デメリット


 
働き方の自由度が増してきた昨今、「海外移住」をする人は珍しくありません。
メジャーな移住先だと、物価が安く気候の良い東南アジア、ヨーロッパだったらフリーランスビザのあるドイツやオランダでしょうか。

検索ワード「チェコ 移住」での訪問が少なくないのに、それに関することをあまり書いたことがありませんでした。このページを直接訪れてくださっている方もおそらく「チェコって住みやすいらしい」と耳にし、ならば「移住は可能なのかな?」と興味を持たれた方かと思います。。

Nomad List」でもプラハが上位であるように、治安が良く・物価が安く・街が美しいプラハは、ノマドワーカーの長期滞在先として一押しです。しかし、ビザ不要で滞在できる期限は90日(年間180日)。たとえ日本からリモートワークで十分な収入を得られたとしても、継続して住むことは出来ません。

長期間に渡ってチェコに住むための条件、また、チェコが移住することのメリット・デメリットをまとめました。
 

チェコに住むことを可能にする主な4つの方法

※この記事はわたし自身がビザ申請した時の経験や、知り得る・調べられる範囲で書いたものであり、大使館や移民局へ問い合わせたわけではありませんので、間違った内容がある可能性もあります。また、滞在許可の基準は頻繁に変わるものでもあるので、参考程度に読んでください!

留学
大学・語学学校に入学して就学ビザで滞在。おそらく一番簡単で誰にでも出来る長期滞在の方法です。
留学というと高額な授業料が必要なイメージがありますが、チェコの授業料は日本人がイメージするそれよりも驚くほど安いので「留学」と言ってもハードルは低いです。もちろん年齢も問いません。
卒業する時がビザが切れる時なのでそれ以降の身の振り方は考えなければいけませんが、1年などある程度まとまった期間を過ごすことができるので在学中に時間をかけて就職先探しにトライすることは出来ますね。

現地企業かチェコ支社のある日本企業に就職
現在、チェコは失業率がEU内で一番低く、就職活動は売り手市場。企業は働き手を求めています。
チェコ語が出来なければ働ける先は限られてきますが、「ビジネスレベルの英語またはチェコ語+何らかのスキルや経験」があれば就職先が見つかる可能性は “比較的”あると感じます。
さらに、日本企業も支社や工場を構えています。その場合でも英語またはチェコ語は必須だとは思いますが、現地採用のチャンスもあるにはあります。
同時に、チェコへ駐在員を派遣している企業に「日本で」就職して駐在員として移住する方法もあります。駐在期間が長くなれば永住権の申請も可能です。
いずれの方法にしろ求人が多くは無いので、タイミングとコネクション次第でしょうか。決して簡単ではありませんが、持っているスキル次第では可能性があります。

ワーキングホリデー
2017年にチェコと日本の間でワーホリ協定が結ばれた事までは分かっていますが、その後、施行されたんですかね?? ←と、書いた5日後に受付が開始されたことが発表されました!
条件・申請方法などの詳細はチェコ大使館ウェブサイトの「ワーキングホリデービザについて」のページへ。
最長一年間滞在できます。
重要な条件は、年齢制限18〜30歳(申請受領日時点)と「少なくとも当初一ヵ月間生活できる資金と帰りの航空券代を持っていること」くらいでしょうか。あとはクリアするのは特に難しく無いかと。
長く住むことを目指すなら、アルバイトで一年間を過ごすのではなく、その間にワーホリ終了後も引き続き雇用してもらえる現地採用先を見つけるために時間を使うのが良いかもしれません。

チェコ人の配偶者か恋人を持つ
婚姻関係になくても、恋人でも可。パートナーであることを証明出来ればOKです。
偽装で無い限り申請は通りますし、申請自体も面倒なだけで難しくはありません。2年経過後に永住権の申請が出来ます。縁さえあれば一番確実な方法です。
(身近に例が無いので確証は無いのですが、チェコ人でないEU国民のパートナーでも構わないのではないでしょうか。EU国民はEU圏内の国ならどこにでも住むことが出来ます。そのパートナーと一緒に住むことが条件で同伴者としてビザを申請出来ると思います。)
 
以上の4点がチェコへ移住するための「主な」方法です。他の多くの国と同じだと思います。
国によっては「ウン千万円以上の不動産を持っていれば住んでOK」という風にお金で解決出来る制度があるところもありますが、チェコにはそういった飛び道具は残念ながらありません。

いずれかの方法で移住し、さらに数年間(状況によって期間は変動)継続して住めば永住権の申請をすることができます。それまではチェコ人の配偶者といるか・学生でいるか・雇用されているか、のどれかを維持しなければ住み続けることは出来ません。条件が合う人にとっては難しくありませんが、誰でも住めるというわけでも無いというのが現状です。


 
続いて、チェコに住むメリットとデメリットです。

チェコに住むメリット


物価が安い
日本より間違いなく安くなるのは、交際費・食費・交通費。ビールやワインが安くて美味しいのは有名で、お酒が好きな人には最高の環境です。
家賃も、家が広いことを考えると日本よりも安いですが、一般的に収入に対する家賃の割合は日本より大きいようです。特に、都市部では家賃が急上昇しており、郊外へ引っ越す人も増えているそうです。
それでも、まだまだ生活費は日本よりは抑えられると思います。

治安が良い
世界の治安ランキングでは日本より上に位置するほどで、治安は非常に良いです
女性でも夜道を一人で歩けますし、凶悪犯罪に会う可能性は日本と同じくらい低いと考えて大丈夫です。これは大きなメリットですよね。



ヨーロッパ諸国への旅行がしやすい
週末を使ってよその国へ旅行することも十分可能です。ドイツ、オーストリア、スロヴァキア、ポーランド、ハンガリーなどが距離的に訪れやすい旅行先です。
ちなみに、チェコは地理的にヨーロッパの真ん中なので、どこに行くにもアクセスが良い、と言われたりしますが、正直なところそこまで超便利というわけでもありません。ヨーロッパ内といっても陸路で行けるのは先に上げた近隣国くらいで、結局は飛行機を使う(=安くない)からです。

自分の時間が持てる
会社によるので確実に残業ゼロになるとは言えませんが、日本のように「サービス残業当たり前」ではありません。多くの人は平日でも夕方以降にゆっくり自分の時間を持つことが出来ます。夕方5時頃には保育園のお迎えに行くパパさんたちをよく見かけます。
有給は年に最低でも4週間(職種によって長さが違う)。その内で2週間は連続で取れるように法律で決まっています。

夏が暑過ぎない
日本の夏の暑さ、ここ数年ひどいですよね。チェコでも暑い日があるにはありますが、乾燥しているので不快な蒸し暑さもありませんし、日本の夏よりはずっと気持ちが良いです。

 

チェコに住むデメリット(覚悟しておくべきこと)

元々チェコが好きで好きで仕方なくて移住したい人には当てはまらない項目もあります。要は気の持ちよう。

マイノリティになる
移民が少ないので、日常で視界に入るのはほぼ白人。幸い人種差別を感じることはほぼありませんが、どうしても見た目が目立つのでジロジロ見られることはあります(都市部ではそんなことはありません)。
あと、いくら生活に慣れても、チェコ人コミュニティーに完全に馴染むことは難しく、自分が外国人であることを忘れることはありません。日本に住む外国人が「いくら日本語が流暢になっても外国人としてしか扱われなくて悲しい…」と言うのを聞いたことがありますが、気持ちがわかります。単一民族国家という点で日本と共通するところがあると思います。

給料が低い
物価が安いということは、収入も低くなります。もちろん勤め先によります。
平均収入・最低賃金のデータから見るに、チェコの企業に勤めると収入が日本での半分程度になる可能性も多いにあります。普通の暮らしをするにはそれでも十分ですが、家賃の高い都市部に住むのは厳しいかもしれません。



英語はあまり通じない
都市部を離れると英語は通じないものと考えた方が良いです。学校で英語を選択しなかった人も少なく無いので、通じないときは本当に一言も通じません。

チェコ語の難易度が高い
チェコ語は文法が難解です。買い物に必要な基本会話であればしばらく経てば出来るようになりますが、そこから先、チェコ語ネイティブと会話のキャッチボールが出来るレベルに達するにはそれなりの年月と努力が必要だと感じます。

冬が暗く長い
保温性の高い住居のおかげで気温の低さは意外に苦にならないのですが、日照時間の短さが堪えます。冬季うつに気をつけなければいけません。11月には完全に冬になってしまうので、冬が長いです。

以下は、チェコだけでなく海外移住に共通する内容も含みます。

ちゃんとした和食が恋しくなる
チェコは内陸国のため、新鮮な魚が手に入りません。売っている野菜の種類も日本とは違います。和食の食材は、日本から持って来たり、日本食材店で調達したり、自炊が好きならある程度は日本の食卓を再現出来ますが、鮮魚のようにどう頑張っても手に入らないもの思った以上にあります。逆に、お肉があれば生きていける!という方にはチェコの食事は向いていると思います。


典型的なチェコの食事


友達や家族と頻繁に会えない
普段の生活スタイルにもよりますが、日本で頻繁に友達と遊んでいた人だとそれが出来なくなるのは寂しく感じると思います。とはいえ、今はインターネットのおかげで友人たちの近況はSNSを通じて丸分かりなので、時差があることを除いてはあまり変わらないな、とも思います。
家族に関しては、親の死に目に会えない可能性が日本にいるよりは上がることを覚悟しなければいけません。

病院
いざという時に日本の病院に行けない不安!たとえ医療レベルが高い国でも、病気に関わることを日本語で説明したり聞いたり出来ないのは日常生活の不便以上に不安を感じます。


 

まとめ

チェコは、のんびりした生活を好む人に向いていると思います。典型的なチェコ人の暮らしと言われるのは、「シンプルな食事」「朝型で終業時間も早い」「週末はコテージに滞在し庭いじり」「バカンスは車で山かビーチへ」などなど。日本の都会に住んでいる人の生活スタイルと比べると質素と言っても良いほどリラックスした暮らしぶりです。別にチェコ人らしい生活を真似する必要は全くありませんが、そういう暮らしがしやすい国です。

日本での趣味が買い物やレストラン巡りの人だと、旅行ならともかく住むとなるとチェコでは物足りなく感じるかもしれません。移住当初のわたしが正にそうで、買い物に行っても欲しい物が無いことと外食の選択肢の少なさはストレスでした。ただ、それも時間を経て慣れたので、住んでみないと分からないな、と思います。

世間に住みやすいと言われる街でも、向き不向きがあります。個人的には、一つの国に最低でも一ヶ月滞在してみると、良い面だけでなく、自分なりの妥協できる点・耐えられない点が見えてくると思っています。チェコに限らず移住先候補がある方は住むことをイメージしながら一度長めに滞在してみることをオススメします。