「アルヘオパルク・パヴロフ(Archeopark Pavlov)」考古学博物館でマンモスハンターの暮らしを学ぶ


 
ネットで写真を見た時、ひと目で「ここ行きたい!」と思ったのがこの↑ 建物です。

南モラヴィア地域のパヴロフ(Pavlov)村にある「Archeopark Pavlov(アルヘオパルク・パヴロフ)」。訳すなら「パヴロフ考古学公園」といったところでしょうか。意外にもこの斬新な建物の中は考古学博物館なのです。

地方の小さな村で、アクセスが良いとは言えないパヴロフにこのような建物が建てられたのには理由があります。

パヴロフと隣りのドルニー・ヴェストニツェ(Dolní Věstonice)は、紀元前3万年旧石器時代のマンモスハンター達の生活の跡が見つかった考古学的に重要な場所なのです。正にこの場所で発見された遺跡を展示しているわけです。


傾斜を利用した設計。外観は小さな建物の集まりのようで、半地下の内部は広い一つのフロアになっています。2016年にチェコの建築アワードを受賞したそう。


エントランスの大きなマンモス
 

この地域を有名にしたのが、ドルニー・ヴェストニツェで発掘された現存する世界最古の焼き物「Věstonická venuše(ヴェストニツカー・ヴェヌシェ/Venus of Dolní Věstonice)」。製作されたのは、紀元前29000〜25000年頃。

アルヘオパルクではレプリカが展示されています。高さ約11cmで、写真で受けるイメージよりも随分小さな人形です。紀元前29000前に土を練って焼いてこんな繊細で魅惑的な裸婦像を作っていたとは驚きです。


 
マンモスの牙から作った矢じり。火で焼かれたマンモスの残骸も発見されており、人々がマンモスを調理していたことが分かっています。肉も牙も無駄にせず使ったんですね。豚を丸ごと調理しているチェコ人を見慣れているので、これに関しては容易に想像出来ます。


 
線画が刻まれたマンモスの牙。その線が絵か地図かは結論が出ておらず、もし地図だとしたら世界最古(紀元前2万5000年)の地図になるそう。刻まれているラインがこのエリアの形状に似ているそうです。


 
 
※以下、博物館展示品の写真ですが、人骨が写っています。抵抗ある方はページを閉じてください。
 
 
ネアンデルタール人の頭蓋骨&現在の人の頭蓋骨。どちらがどちらなのか説明がありませんでしたが、見れば分かりました。


 
マンモスの骨、人骨、台所の跡・・・。埋まっている箇所を順にライトで示してくれるスタイリッシュ且つとても分かりやすい展示。建物がかっこいいだけでなく、展示の仕方も洗練されていました。建築物が見たくて訪れたので、特に旧石器時代に興味津々だった訳ではありませんでしたが、展示が分かりやすかったおかげで期待以上に楽しめました。良い博物館です。


 
小さなライブラリーコーナーでは考古学やパヴロフ周辺に関する書籍が読めます。

 

パブロフ周辺

すぐ目の前には「ノヴェー・ムリーニ=ストジェト貯水池(Vodní dílo Nové Mlýny)」があります(この記事を書くにあたって名前を調べるまで、単なる大きな湖だと思ってました)。
湖岸には、人々が夏に利用するコテージ、キャンプ場、ボートがずらり。南モラヴィアのリゾート地です。


 
アルヘオパルクの大きな窓から見える「ジェヴィチュキ城(Děvičky hrad)」は標高428mの山の上に経つ城の遺跡。わたしは時間が無かったため目指しませんでしたが、ペトルが遠足で行ったことがあるそうです。子供の足でも登れるハイキングにちょうど良い目的地なのでしょう。湖を見渡せる絶景ポイントなのは間違いありません。


 

パブロフの村

アルヘオパルクのある場所は、パブロフ村の中心からは徒歩15分ほど離れています。せっかくなので村も観に行ってみました。

人口600人に満たない小さな住宅街なのに、なんと宿泊施設が40以上!この辺りのホテルに滞在して、湖に泳ぎに行って、夜はワインでゆったり、という感じでしょうか。夏が稼ぎ時で、冬は閉業しているところが多いと思います。

観光案内所もあります。
 
ホテルやワイナリーの案内でぎゅうぎゅう。わたしが訪れた時期はシーズンから外れていたので人は少なかったですが、夏はさぞ賑わうのでしょうね。

 

詳細・アクセス

「アルヘオパルク・パヴロフ(Archeopark Pavlov)」

23. dubna 264, Pavlov
https://www.archeoparkpavlov.cz/

開館時間:
4・10・11月 金~日 9:00~16:00
5・6・9月 火~日 9:00~17:00
7・8月 月~日 9:00~18:00
※12~3月は閉館
 
入館料:
一般 90Kč(約425円)
館内の写真撮影:50Kč(約235円)

 
 
公共交通機関でのアクセスは、ミクロフかレドニツェを起点に路線バスを利用します。どちらも所要時間は約30分。

【ミクロフから】
乗車停留所は、「Mikulov,,žel.st.」(鉄道ミクロフ駅前)、または中心地に近い「Mikulov,,u parku」か「Mikulov,,u pošty」。どこから乗っても同じバスです。

【レドニツェから】
「Lednice, náměstí」(レドニツェ広場)から乗車。

どちらの場合も降車停留所は、「Pavlov,,rozc.1.0」。アルヘオパルクは下車すぐ。パブロフの村へ行くなら「Pavlov」まで。

本数は、平日でも1時間一本程度しかないので、事前に往復のバスの時刻の確認を。時刻表検索は、IDOS.CZにて。