モラヴィアの文化都市オロモウツ(前編)

日本ではゴールデンウィーク真っ只中ですが、チェコでも5月1日がメーデーで祝日のため三連休でした。遠くへ行くほどの日数も無いので、うちから電車で2時間弱のオロモウツへ二泊の小旅行をしてきました。

オロモウツは人口はチェコで6番目ですが、プラハに次いでチェコで二番目に重要文化財が多い街。歴史的には長い間ボヘミア王国の主要都市で、現在はモラヴィア地方の文化・宗教的中心地です。

キヨフ(Kyjov)から電車に乗り、まずウヘルスケー・ハラディシュチェ(Uherské Hradiště)駅で乗り換え。ボヘミアン柄が施された素敵な駅舎です。

 

乗り換えの電車を待つ20分の間に街の広場を見に行くと、自転車のイベントの開会式の最中で、よくよく聞いてみると自転車でワイナリーを巡るのだとか。

ちなみにチェコでも飲酒自転車は違反です(笑)。

一杯くらいなら違反じゃないから大丈夫、とペトルは言いますが、一杯で済ます人いないでしょ。主催者が「年々警察とのトラブル増えてるので皆さん気をつけて」と挨拶していました。うん、気をつければオッケー。

ウヘルスケー・ハラディシュチェから電車で40分。オロモウツ駅に到着。ここもとても美しい駅舎です。ほとんどのチェコの駅は汚いですが、ここの様に時々うっとりする様な駅もあります。

駅から街の中心まで約2km。トラムもありますが、天気が良かったので歩きました。今までいくつかのチェコの街を旅行しましたが、どことも違った雰囲気です。道路が広いせいでしょうか、なんとなく広々としているし、モダンな建物も多いし、ウィーンやドイツのいくつかの街を思い出しました。

宿泊先はオロモウツの見所の一つ、聖ヴァーツラフ大聖堂の隣りのホテル。このモラヴィア地方で最も高くチェコ全体でも二番目という塔は迫力があったし、周辺の雰囲気も気に入ったのですが、毎正時に鐘が鳴るのです、しかも24時間休みなく!日曜はさらに日曜礼拝(8時と10時の二回)の始まる30分前に10分間も大音量で鐘が鳴り続けます。寝させてもらえない・・・。
今回得たヨーロッパ旅行の教訓「大きな教会の近くには泊まるべからず」。

オロモウツには、ホルニー広場とドルニー広場と呼ばれる二つの広場があります。チェコ語でホルニーは上、ドルニーは下。実際、高低差が少しありますが微妙な差です。物理的な上下よりも、ホルニー広場の方が市庁舎や世界遺産の聖三位一体柱(写真の真ん中の柱)があるので、上という位置づけな様に感じます。この他に有名な天文時計も同じ広場内にあるのですが、時計の周りを囲むように工事中だったので写真は撮らず。

ホルニー広場ではオロモウツの名物である「トヴァルーシュキチーズ」のイベントをやっていました。食べ物を買うために並んでるチェコ人を見たの初めてかも。トヴァルーシュキチーズは、stinky cheese(臭いチーズ)とも呼ばれており、独特の匂いを持っています。オロモウツでなくても買えるのですでに挑戦した事がありますが、私の第一印象は「昔の公衆トイレの匂い」。食べ物としてはかなりショッキングな匂いですが、鼻をつまんで食べれば味はいたって普通のチーズ。その臭いトヴァルーシュキチーズを使った料理が食べられるイベントでした。特に食べたく無いのでパス。

民族衣装を着た人たちも見れました。キヨフで見たことがあった衣装よりもゴージャスな雰囲気で特別な日のオシャレという感じがします。チェコに住んでる間に一度は着てみたいのですが、その辺に売っているものでは無いそうで。プラハへ行けば観光客用のレンタルとかあるかな?京都の舞妓体験みたいな。


チェコに来てからグッドデザインを見かけることが皆無です。私はデザインに関わる仕事をしているので、街の意匠からヒントや刺激を得るのも旅行の楽しみの一つなんですが、このデザインは良いなぁと思う機会がチェコではあまりにも無いのです。チェコの絵本やアニメーションは世界的にも有名だというのに。しかし、オロモウツでは街で見かけるポスターもセンスが良いし、街のサインもシンプルなものでスタイリッシュ。そういう面でも街歩きが楽しい場所でした。

 


 

オロモウツ現代アート美術館(Museum umění Olomouc)も素晴らしかったです。日曜は入場料が無料、有料の日でもたった70Kč(約320円)。私が行ったのは無料の日だったせいもあるのか子連れのお客さんが多かったです。小さい頃から気軽に現代アートに触れられるなんて良い環境。この絵(※写真じゃない)の作家のエキシビジョンもとても良かったです。

最上階、というかまるで日本のお城の天守閣の様なスペースがてっぺんにあり、街を一望することができます。大き過ぎず小さ過ぎず、観光客も地元の人も立ち寄れる良い美術館でした。