コロナ禍日記、非常事態宣言下のチェコでの2ヶ月


 
新型コロナウイルス (COVID-19)がヨーロッパで広まり始めたころから、非常事態宣言、ロックダウンを経て、経済活動の再開を始めた現在まで2ヶ月と少しの間、チェコで起きたニュースと併せて日記的に書きました。

あまりに慌ただしい状況の変化で、政府からのお知らせを追いかけるのに必死だった時期(特に3月半ばの非常事態宣言発出前後)は、もしかすると日付にズレがあるかもしれません。時系列は合ってるはずなので、どの様なスピード感で物事が進んでいたのかは伝わると思います。ほとんど自宅に籠っているので写真が少ない上に、長いだけで淡々として面白くもないですが、、、この未曾有の事態を忘れてしまわないよう、自分のためにも記録しておきます。

 

2月28日(金)

〈チェコではまだ感染者ゼロ。初めて感染疑いのある20名を検査するものの、結果は全て陰性。〉

まだ国内に感染者はいないにも関わらず、食料品・日用品の買占めがニュースで取り上げられる様になりました。イタリアでの感染者増加が目立ち、パスタが売り切れていると伝えられていたので、チェコでも同じようになるのかと不安に感じるように。

私の近所の複数のスーパーではトイレットペーパーもパスタも普段通りにありましたが、義母に聞いたところ、ハイパーマーケット(大型スーパー)で安いお米が売り切れていたとのこと(高いのは残っていた)。どうやら買い溜めを目論む人たちは車で行きやすい大型店舗を目指すようで、街中の小さめのスーパーの方が意外に商品が残っていました。

 
3月1日(日)

〈チェコで初めての感染者3名

内訳は、イタリア北部から戻ったチェコ人男性2人、プラハに観光で来たイタリア留学中のアメリカ人女子学生1人。

3名の感染者はわたしからは全て離れた地域だったので、感染への不安はまだ感じませんでした。すでに感染者の出ていたウィーンの方が地理的には近いので、来るならそちらからだろうな、と(まさか国境封鎖されるなんて思っていなかったので)。

個人的にはコロナウイルスへの感染よりも、その頃ヨーロッパで問題になっていたアジア人に対するヘイトの方が怖くて出来る限り外出を控えていました。(実際には、嫌がらせはもちろん、避けるような仕草をされるようなことは結局その後も一度もありませんでした。)
 

3月2日(月)

〈感染拡大している北イタリアへのフライト停止。国外旅行、特にイタリアへの渡航の自粛要請。〉

一日に何度も速報的に情報が流れてくるようになりました。主なニュースサイトでは、コロナ特設ページが作られ分刻みで情報を更新されるようになりました。本当に文字通り分刻みで新情報が入ってくるので、一日に何度もチェックせねばならず、災害真っ只中のような(まだピークではなかったにも関わらず)気持ちの落ち着かない状態でした。
ニュースを読めるほどのチェコ語力は無いので、ブラウザに入れたGoogle翻訳のプラグインが大活躍。チェコのニュースをこれほど熱心に追いかけたのは初めてです。

 

3月4日(水)

〈国内感染者が合計8名に。うち2人は最初の感染者の家族。〉

チェコは、この時期学校は春休みで(混雑緩和のため地域ごとに多少日程はずれています)、スキーバカンスに行く人が多く、イタリア北部も人気のある行き先です。
フライトを停止してもイタリアへは車でも行ける距離なので、「自粛要請」だけでは無理して出発してしまった人もいたようです。この後もしばらく帰国ラッシュは続き、チェコで初期に確認されたコロナウイルスはほとんどがイタリア経由でした。

もっと早くイタリアとの行き来を止めていれば、との不満も後になって見かけますが、この時点では日常生活は普通に送れていたので、危機感が薄い人が多かったのも仕方のないことだと思います。もしバカンスを制限したとしたら、同じかそれ以上に不満が寄せられたと思います。

 
3月6日(金)

〈中国・韓国からの入国者に対し、14 日間待機を要請。〉(日本人は入国可だけど、中国か韓国で乗り継ぎをした場合、同じ扱い。)
〈チェコ在住者がイタリアから帰国した場合、医師への連絡の義務付けが決定。〉

「医師は当該者に14日間の隔離を命じ、破った場合、最高300万コルナの罰金が科され得る」と決まりました。300万コルナは日本円にして約1400万!文脈から支払うのが医師なのか患者なのか定かでないのですが、どちらにせよ軽い気持ちでは違反できないインパクトのある金額です。絶対違反するな!というメッセージだと受け取りました。

 
3月10日(火)

〈参加者100名を超えるあらゆる行事(スポーツ、文化、娯楽等)を禁止。〉

自分にすぐに影響のあるところだと映画館が思い浮かびました。近所の映画館では人気作品でない限り100人に満たない日も多いけど、その場合なら行ってもいいのかな??が最初の疑問でした。後になってみれば当然「全上映中止」だと分かりますが、初めての経験なのでこの時は本当に基準が分かりませんでした。

4月下旬にウィーンでライブに行く予定があったのですが、オーストリアはチェコよりも感染者が多いので無理かもしれないなぁ、と思い始めました。それでも五分五分くらいで行ける可能性も残っていると、この時はまだ思っていました。

 
3月11日(水)

〈チェコ国内の全ての小学校・中等学校等での授業を中止。〉
〈全戸にチラシの配布〉
〈WHOが「パンデミック」認定〉

保健省発行の「市民のためのコロナウイルスに関する情報」というタイトルのチラシが各家庭に届きました。気をつけるべき体調の変化や、予防対策について書かれています。ヨーロッパではニンニクがコロナウイルスに効くとのデマが出回っていたらしく(日本ではそんな噂無かったですよね?!)、「ニンニクは効きません」との一文があります。

 
3月12日(木)

チェコ政府が、非常事態宣言を発出
〈感染危険国15か国(日本は含まれず)から短期滞在外国人の入国を禁止。〉
〈30人を超える集会の禁止〉
〈ショッピングセンターの飲食店営業停止〉
〈ジム・娯楽施設・図書館・美術館の営業禁止〉

ついに非常事態宣言!
この時点で、国内の感染者116名・死亡者0名。主なEU諸国の感染拡大状況と非常事態宣言発出のタイミングから比べると、まだ死亡者ゼロの時点で非常事態宣言を行ったチェコ政府の決断は早かったです。絶対に犠牲者を出さない!という意思を感じる決定です。

規制も一気に増えて気持ち的には落ち着きませんでしたが、外を眺めてみると、街の小売店は開いているし、風景はさほど普段と変わらず。でも、次に何が禁止されるかわからないし、日持ちのする食べ物少し買っておいた方がいいのかな、と考えていました。

 

3月13日(金)

〈感染してる人がそれを知りながら感染拡げる行為(=外出?)をした場合、懲役最長12年。〉
チェコ国民は、基本的にチェコからの出国禁止。外国人は、出国は可能だが非常事態宣言発動中は再入国不可。〉

わたし(長期ビザを持っている外国人はチェコ国民と同じ扱い)の場合、日本へ渡ることは可能だけど、チェコに戻ってくることは出来なくなりました。
そもそもフライトも減っており、日本へ入国しても2週間の隔離が必要。よほどの事情でも無い限り移動する理由はありません。

が、日本の両親が重症化リスクの高い年齢なので、万が一彼らが今感染して死に至ることがあっても死に目には会えないだろう、と考えずにはいられませんでした。それが嫌だから本帰国する予定なのに、まさかその直前に命の危険のあるウイルスに足止めされるとは・・・。

 

3月13日(土)

全ての店舗を閉鎖。(食料品店、医薬品店、ドラッグストア、ガソリンスタンド等を除く)
ドイツ、オーストリアとの国境閉鎖。
〈バビシュ首相から、食料品等は十分に供給されるので、買いだめ等はしないように呼びかけ。〉

店舗の閉鎖が発表されたのは夜中で実施は翌朝からだったので、買いだめに人が殺到する事態は起こりませんでした。早寝早起きの人が多いチェコなので、夜の発表だったら当然全員の耳には届かないでしょう。
夜遅くに発表したのは意図的なのか、単に話し合いが長引いたのか分かりませんが、買い占めに走る隙を与えなかったのは、結果的にはよかったと思います。おかげでスーパーに客が押し寄せて感染拡大の原因になるような混雑が起きなかったので。

2日前の非常事態宣言から目まぐるしくルールが変わっていて、常にニュースをフォローしていないとうっかり違反してしまいそうな状況でした。しかし、イタリアやスペインの感染者数が大変な勢いで伸びているのが恐怖だったので、早すぎるほどの厳しいチェコ政府の決定にはむしろ安心できました。

 

3月16日(月)

〈この日から3月24日まで行動制限(後に、1ヶ月延長され4月23日までに)。通勤、食料品・医療品の購入など必要不可欠な用事を除いては、外出禁止に。〉

二日前から「店の閉鎖、ただしテイクアウト可」を始めたものの、店の周辺にたむろしてしまう事例が多く外出自体を制限せざるを得なくなったようです。

飲食店は、店内に入らず窓口から渡すかたちのテイクアウトなら営業OKですが、完全に閉めてしまっている店も多かったです。繁華街に出かけられないのでどのくらいの割合かは分かりませんが、うちの周りだと半分以上は休業していました。ほとんどの店が設備的にテイクアウトは可能なはずなので、採算が合わないのでしょうか?理由は分かりません。

受け渡し窓口があることがテイクアウト営業の条件なので、この↓ように急ごしらえのカウンターを作っている店が見られました。

 

外出の際、特に公共交通機関(トラム、メトロ、バス)への乗車や買物の際に,口と鼻をマスクやスカーフで覆うよう政府から呼びかけがありました。

この時点では、まだ街でマスク着用している人は一度も見たことがありませんでした。市販のマスクは品薄で手に入らず「手作りマスク推奨」とは言われてはいましたが、「市販マスクでも恥ずかしがって着けないのに手作りなんてするだろうか??」と思っていました。が、その邪推は良い方向に全く外れることに・・・

私の知る限りでは、手作りマスクで公の場に現れた最初の著名人はプラハ市長でした。台湾への留学経験がある方なので、一般的なチェコ人よりはマスクへの抵抗が少なかったのかもしれません。必要以上に可愛らしいマスクでインパクト大でした。「こういうマスクもありなんだ?!」と気づくきっかけになりました。

 

3月17日(火)

プラハ市の公共交通機関に乗車する際のマスク着用が「義務」に。(スカーフでも可)〉

前日のマスク着用呼びかけから、「義務」に強化。同時に、ソーシャルメディアで「Roušky Všem」(意:Masks for all)というメッセージが拡散され始めました。

何人かのインフルエンサーがマスク着用を呼びかけたり、手作りする様子をSNSに投稿したことで、マスクへのイメージを急速に変えることに成功。マスクなど着けたことがなかったチェコ人が、一斉にマスクを作り始めました。インスタグラムの#rouskyvsem ハッシュタグでチェコ人がどのようなデザインのマスクを着用しているのか見られます。

最初の仕掛け人は作家のPetr Ludwig氏。マスクを着用する重要さを説明するビデオです。英語版もあります。このビデオがアップされたのは3月14日で、最初の二日間の反応は薄かったようですが、マスクが義務付けられてからは一気に広がりました。

 
同じようなムーブメントが他の国(特にマスク文化の無い欧米)でも起こっているのだろうか??と疑問に思い、のちに調べましたが、どうやらチェコのマスクへの適応力は突出していたようです。無いなら作るDIY好きの国民性、沢山作って寄付したいボランティア精神、政府をあてにしていない自立心、好きな柄でオシャレできる・・・などなど、チェコ人の持つ色んな要素と相性がピッタリ合ったとしか思えません。コロナ禍に生まれた合言葉は、日本だと「3密」、世界的には「STAY HOME」ですが、チェコでは「Roušky Všem」です。

 

3月18日(水)

〈市から、高齢者から順に各戸にマスクの配布を始めるとのお知らせ〉

ニュースでは連日、保健省が医療従事者・警察・消防士など最前線で働く人たちのためのマスク確保に尽力する様子が伝えられています。まだ薬局で一般市民が買えるようなマスクは出回っていない中、わたしの住む市で、近いうちに市販か手作りのマスクを無料で配るとのお知らせがありました。今は外出制限で在宅しているのでマスクを使う機会は全く無く、日本から持ってきた(けど使ったことが無かった)数枚の使い捨てマスクで足りていますが、いずれ外出が必要になるので助かります。

 

郵便局に、ソーシャルディスタンスを守りながら並ぶ人々。局内に入れる人数を制限しているため、外に並んでいます。普段なら仕事や買い物でもっと人通りのあるストリートなのですが、とても静かです。

 

3月19日(木)

チェコ全土で公共の場でのマスクの着用が義務付け。〉
買い物の時間を65歳以上とそれ以外で分けることに。午前10〜12時までは65歳以上のみが利用可。(スーパー、ドラッグストア、医薬品店等)〉

「公共交通機関」でのマスクの義務化が決まってから3日目にして、「全土の公共の場」へ変更。たった3日の間に、手作りマスクをシェアするウェブサイトが出来たり、ボランティアでマスクを寄付する動きが生まれました。歴史上でチェコの家庭のミシンが最も稼動した3日間だったのではないでしょうか。外を歩いている人を見るとすでに全員きちんとマスクを着用していました。チェコ人は規則をよく守る国民性だとは前から思っていましたが、想像以上の一致団結に感動しました。

ニュースキャスターもマスク。テレビに映る人、全員がマスクを着用していました。外に出られない分、テレビから得るイメージは大きいです。短い間にすっかりマスクをしていない方が恥ずかしい風潮に。
さすがに手話通訳さんは口が見えないと理解しづらいと苦情があったのか、翌日からは透明のフェイスシールドに変わっていました。

 

 

3月20日(金)

〈前日から実施された食料品店等での買物制限時間に変更があり、65歳以上が利用できるのが午前7〜9時までに。〉

10時からだと特売品が売り切れてると高齢者から不満が出たためだそうです。理由はともあれ、もともと早い時間は年配のお客さんが多いのでちょうど良いのでは。(のちにまた変更があり、午前8〜10時に落ち着きました。全員に都合の良い結論などなく、難しい調整だった模様。)

買い物に出るのが難しい高齢者のために、自治体または個人で買い物を代行するボランティアも生まれました。チェコ人の行動の早さと迷いの無さに感心させられてばかりです。


 
首相はじめ各大臣たちはほとんど毎日会議を行っているようです。そこで新しいルールが出来たら発表の翌日から施行ということが多く、非常に迅速です。そして、一度施行した規則でも不都合があると直ちに変更するフレキシブルさにも驚きました。

 
3月22日(日)

初の死亡者 1名

非常事態宣言から10日目にしてチェコ国内で初の死亡者。

 

3月23日(月)

〈チェコテレビで高齢者向けのチャンネルがスタート〉

家で過ごす時間が増えた高齢者のために、国営放送局で新しいチャンネルが出来ました。主に、昔の映画やコロナウイルス対策を教える番組を放送しています。
休校中の小学生向けには、すでに学年別に分かれた教育番組も放送中。生徒が一人ひとつずつぬいぐるみを従えてるのが可愛い。もちろん全員マスク着用で。


 
夜に、アンドレイ・バビシュ首相の演説が行われました。他国の首相演説ってそれぞれ違って興味深いですよね。国によってタイミングも違います。ロックダウンの前だったり、後だったり。チェコの場合は、すでに厳しい規制が敷かれてしばらく経っているので、具体的な対策の発表というよりは、市民への労いの意味が大きかったと思います。日本語訳を前回のポストに掲載しましたので、良ければ読んでみてください。

 
同じ頃、日本では、聖火到着やK-1が開催された3連休でした。
チェコは、政府の迅速な対応で最悪の事態は回避できているものの慌ただしく情報がアップデートされる毎日。そして西を見ればイタリアやスペインで恐ろしい勢いで死者が増えている映像が流れてきて他人事とは思えないのに、極東からは和牛商品券や街へ繰り出す人々の話題。自分の身に危険は感じないものの、日本が心配でギャップに悩んでいた時期です。
 
 
3月27日(金)

一日の感染者数最多の373名

ここがピーク。
チェコ国民へ行なった意識調査https://rmx.news/article/article/czechs-remain-optimistic-despite-coronavirus-support-permanent-border-checks-surveyによると。

回答者の83%が政府は状況を適切に管理し効果的な対策を実施していると答え、回答者の3分の1は自分の財政状況を「我慢できる」。5分の1以下が「締め付けを強いられている」。「重大な困難を抱えている」は約3%にとどまった。チェコ人は現地の医療従事者や衛生士の仕事に対して、ほぼ100%の広い支持を表明している。

概ね想像していた通りです。収入が減る業種は当然多いけれど、生活出来なくなるほど困窮する人は少なく抑えられているようです。

ニュースでも毎日、コロナウイルスで仕事に大きな影響が出ている人たちを取り上げています。飲食店、理美容師、音楽家、農家など、影響を受けていない職業の方が多いでしょう。まだ誰もが模索している最中です。テレビでは、国からの休業補償や無利息貸付の申請方法も同時に紹介されており、早く申請した事業主は3月中には現金を受け取れるようです。基本的に、国の命令が原因で収入が減った場合は補填するスタンスです(全てカバーするのは不可能とはいえ)。

支援の一例として、フリーランサーは、健康保険・国民年金の支払いを全員半年間免除。さらに、コロナウイルスが原因で収入が減った場合には25,000Kč(約105,000円)の給付金が得られます。この金額は、チェコでは最低賃金を上回ります。申請方法は簡単で、ネットで名前・ID・銀行口座・サインを入力するだけ。収入がいくら減ったかは問われず、証明する必要も無いので実質「希望者全員」です。
給付金を配る旨の発表があってから実際に申請が開始されるまでは1ヶ月ほどかかりましたが、申請から入金まではたった2営業日でした。さらに2回目の給付15,000Kč(約63,000円)も決定しています。都市部と地方では物価に差があるので、家賃の高い都市部に住んでいる人からすると足りないかもしれませんが、全国平均だと2ヶ月は凌げる金額だと思います。

 

3月31日(火)

HONEST GUIDE」のレシピを参考にトゥルデルニークを焼きました。
日本でも「蘇」作りが流行っていた頃です。普段なら家で作らないようなものに挑戦したくなるのはどこでも同じですね。特別な道具もいらず、見た目よりもずっと簡単なのでオススメです。

 
4月5日(日)

〈フランスから数人の患者をブルノに搬送して受け入れる計画〉

結局、直前でキャンセルになったのですが、他国を助けられるほど病床数に余裕があるとは知らなかったので驚きました。一番恐れていた医療崩壊を起こすことなく、万が一感染しても平常時と同じレベルのケアを受けられる環境があるのは何より安心感を与えてくれます。


4月8
日(水)

〈市から無料マスクの支給

マスクが義務化された3週間前から、高齢者を優先したマスク配布が始まっており、ようやく高齢者に十分に行き届いたので、全年代への支給が始まりました。

決められた時間に市役所へ行けば一人2枚貰えるとの案内があったので、夫と赴きました。受取場所は全く混んでおらず、私たちの前に一人いただけ。

貰えるマスクは市民から寄付された手作りマスク。色とりどりのマスクがどっさり入った箱がいくつも並んでおり、その場で受付の方が箱の中から選んでくれました。貰ったマスクの内訳は、わたしに可愛いの4枚、夫には無地を2枚。どう考えても人を見て選んでるし、しかも外国人であるわたしの方に決まりより多く渡してくれるという!コロナ禍の中、欧米ではアジア人差別があったり、日本では在住外国人には給付金渡すなという論調があったり、人種や国籍による差別にナーバスになっていたので、一層嬉しかったです。

 
 
4月8日(木)

〈翌日からのイースター4連休に向けていくつかの規制緩和を発表。自転車屋・ホームセンターなどが営業再開。屋外での運動時にマスクの着用せずともOKに。〉

3月16日から始まった外出制限も3週間を越え、そろそろSTAY HOME疲れが出てくるころ。しかも、翌日からはイースターホリデー。少し規制を緩めるには良いタイミングだったと思います。

わたしも3月半ばから丸々3週間家から一歩も出ませんでした(食料品の買い出しは荷物を沢山持てる夫が担当)。せっかく天気が良いのに出かけられないのは残念ではありますが、これが陰鬱な天気の冬だったら精神的にもっと落ち込んだと思います。自宅にいても窓からの日差しや景色で春が感じられる季節だったのは少し救いです。

 

4月11日(土)

近場で2時間ほどのサイクリングへ。コロナ発生以降、最長の外出です。
暑いくらい天気がよく、同じくサイクリングやウォーキング中の人とすれ違いました。自然の中や運動中のマスクは義務ではなくなりましたが、体感では半数ほど着用していた印象です。ほんの数週間ですっかりマスクに慣れてしまったチェコの人たち。以前では考えられなかった変化です。
 

 
ロックダウン以降閉まっていた、街の人気スイーツ店がテイクアウトのみで営業を再開しました。人が集まってしまうのでは?!と心配でしたが、想像していたより人々は慎重なようで、お客さんの数は平常時の半分にも満たないほどでした。

しかし、ニュースによると、この日は天気が良かったのと規制緩和で気持ちも緩んだ人が多かったのか、外で集まってお酒を飲んだりする違反は多かったそうです。

 
4月12日(日)

バビシュ首相が2mの巨大ポムラースカで夫人を追いかける動画投稿。

チェコのイースターに欠かせないポムラースカについては↓


4月14日(火)

経済活動を再開する5ステップの計画を発表。〉

感染拡大が抑えられているとの判断から、5つの段階(4月20日→4月27日→5月11日→5月25日→6月8日)を決めて、リスクの少ない業種(詳しくは後述)から少しずつオープンしていく計画が発表されました。「ただし、状況が悪化すれば変更はあり得る」との注意書き付き。それでも先行きが全く見えないより、具体的な日程を示してもらうだけで区切りを目指して頑張ろうという気になれます。
感染拡大防止については、他国の前例を参考にすることが出来ましたが、経済活動再開は他のEU諸国はまだ手探り段階で、全力で取り組めば効果が出る感染拡大防止とはまた違った意味で難しいように思います。

ちなみに、店が開くからと言っても外出が自由になる訳ではなく、外出制限はまだ継続中で、どの時点で外出が完全に自由になるのかは分かっていません。

 

4月23日(木)

〈保健大臣から、翌日より外出制限を解除するとの発表〉

唐突な外出制限の解除!
人の自由な移動や営業制限に関する措置を発令する時点で違法な点があったとかなんとか・・・。裁判所からの違法性の指摘と、感染拡大が順調に抑えられていることもあり、急遽規制が緩められることになったようです。いつ終わるか未定だった外出制限が翌日からいきなり解除されることになって、嬉しいはずなのに戸惑ってしまいます。

どの点がどう違法だったのか、詳しいことはチェコ語なら探せるのかもしれませんが、わたしには難しくて無理でした。英語だとこの記事がおそらく一番詳しいです。興味のある方はどうぞ。

それに伴って前週に発表された5つのステップは、2週間前倒しされ、以下のように4つのステップに変更されました。


 
主な内容の訳は以下の通りです。感染リスクが低い、もしくは必要性の高い業種からの再開です。

[step 1] 4月20日
ファーマーズマーケット
自動車販売店
10名までの結婚式

[step 2] 4月27日
2500㎡以下の施設・店舗
フィットネスセンター(シャワー・更衣室等室内施設は不可)
図書館・動物園・植物園等(屋外のみ)

[step 3] 5月11日
全てのショッピングモール
2500㎡を超える施設・店舗・飲食店(ただし屋外のみ)
理容・美容関係
美術館・博物館
城(屋外のみ)

[step 4] 5月25日
飲食店(屋内も可)
宿泊施設
イベント(人数制限あり)
劇場や城内での行事
動物園・植物園(屋内も可)

 

近くのミロティツェ城が庭園のみ開いているので、サイクリングがてら訪れました。十分過ぎるほどソーシャルディスタンスが取れる広い庭園があります。気候の良い今ならもう少し人が多いはずですが、何組か家族づれが散歩していただけでした。

 

4月27日(月)

2500㎡までの施設・店舗が営業再開

わたしが住んでいるような地方の街だと個人店が多く、ほとんどの店がこのサイズに収まるため、街の風景は以前とほとんど同じに戻りました。本来なら春になって賑わっているであろうレストランのテラス席が組み立てられてさえいないことを除けば。

面積の広い店でも、店の中に仕切りを作り売り場面積を2500㎡に収めればOKだそうで、ニュースではロープを張って売り場レイアウトを変えるなど工夫しているお店の様子が紹介されていました。

営業しているお店は、ルールに関する案内が貼ってある店が多いように思います。各自作らずとも、保健省公式に店舗向けのPDFファイルがあるのでそれをプリントアウトすればOK。

 
4月28日(火)

非常事態宣言の解除を5月17日まで延長することが決定(元は4月28日の予定)〉

ニュースで聞いた説明によると、非常事態宣言を解除したからといって外出制限などの規制がなくなるわけではなく、ほとんどの一般市民にとっては非常事態宣言中か否かは生活に影響がないとのことでした。

非常事態宣言の最大のメリットは、医療物資の調達に入札を省ける点。解除後に感染拡大してしまった場合、迅速に物資調達ができなくなってはいけないから、確信を持てる時期として5月17日を設定したようです。

 
4月30日(木)

〈市から無料で消毒液の支給

住んでいる市から一家族につき500mlの消毒液を支給します、とのお知らせがありました。酒造会社が作ったアルコール消毒液だそう。その名も「アンチ・コビット」。適当な空きボトルを持参しれば入れてもらえます。マスクの時と同様、十分に余裕があるから、と多めに貰えました。ほとんどの人は飲み物のボトルを再利用しているので、うっかり飲んでしまわないようステッカーも貼ってくれました。

 
5月6日(水)

ランダム抗体検査の結果、陽性107人/26,549人中

前週にチェコ国内数カ所で行なった大規模な抗体検査(ボランティアや慢性疾患を持つ脆弱層)の結果が発表されました。陽性107人/26,549人中。たったの0.4%!検査規模に差はあれどドイツでもニューヨークでも10%を超えていたので、それよりすこし少ないくらいを予想していましたが、思ったよりもずっと少なく驚きました。

良い点は、感染者の把握に成功しているのが分かったこと。良くない点は、ほとんどの人が抗体を持っていないので、今後(冬とかに)感染拡大する可能性がその分高いこと。
とはいえ、現状を正確に把握しなければ、対策も立てられないわけで、大規模な抗体検査を行ってもらって良かったと思います。

 
5月11日(月)

〈経済活動再開4つのステップの3つ目がスタート。多くの店舗が再営業開始。〉

目に止まるところだと、飲食店が屋外席のみで再開したので街の風景に少し賑わいが戻りました。「少し」というのは、やはり活動自粛している人が多いのか、以前なら満席だったレストランでもそれほど埋まっていないからです。各テーブル同士を1.5m離したり、テーブル・椅子は客が入れ替わるたびに消毒するなどの決まりがあり、さらに客入りが悪いとなれば、飲食店はまだまだ苦しい時期は続くと思います。


 

衣料品店も再開しました。試着はできるけれど、試着された商品は24時間店頭に出せない、などこちらもお店にとって大変そうな決まりがあります。

わたしはまだこれらのお店は通りすがりに眺めるだけで、外出先はスーパーくらいなので、他人と出会う機会といったらスーパーの買い物客か道行く人くらいなのですが、そこで思うのは、みんなマスクはきちんと着用してるのに、ソーシャルディスタンス2mはほとんど誰も気にしていない・・・。
わたしの住んでいる地域は感染者が少ない方なので、もしかするとチェコ国内でも地域によって緊張感に差はあるのかもしれません。スーパーの買い物客でも、手袋と雨具着用の完全防備の人もいれば、無頓着に振る舞っている人もいるので、個人差もあります。これはたぶん万国共通の悩みですかね。
 

 

3月12日の非常事態宣言から2ヶ月と少しが経過。今のところ感染抑制は順調なので、予定通り5月17日に非常事態宣言が解除されると思います。かなり早い段階でロックダウンやマスク着用義務を決めたチェコでも2ヶ月かかりました。

来月にはオーストリアとスロヴァキアとの国境が開く予定ですし、夏のホリデーシーズンに向けて人気の旅先であるクロアチアやギリシャなどと行き来出来るよう話し合いも進めているようです。徐々に様々な規制が解除されている真っ最中で、あと1ヶ月もすれば、大部分は一応通常通りになっているはずです。
どこかの段階で新たな感染爆発が無いとは言い切れないので油断は禁物ながらも、嫌な緊張からは解放された夏を送れるのではと期待しています。

わたし個人としては本当なら5月に日本へ越す予定だったので、夏はチェコにいない予定だったのですが、まぁそれは仕方ありません。今や数ヶ月先のことが読めないのは誰しも同じ。日本とチェコでそれなりに安心して行き来が出来るようになるまで気長に待つつもりです。

 


チェコでの新型コロナウイルスに関する情報を確認するのによく利用しているのは、以下のサイトです。
Novinky https://www.novinky.cz/(チェコ語)
チェコ保健省公式 http://www.mzcr.cz/(チェコ語)
expats cz https://www.expats.cz/(英語)
Wikipedia『COVID-19 pandemic in the Czech Republic
さらに、新たに決まった規制など重要な決定事項は、在チェコ共和国日本大使館から届く日本語のメールで最終確認しています。

5 Replies to “コロナ禍日記、非常事態宣言下のチェコでの2ヶ月”

  1. たまじょ より:

    昨年4月から今年の3月15日までチェコに滞在していました。帰国時は本当に大変でしたが、その後のチェコの様子はどんなだろうと思っていたので、記事を全部読ませていただきました。チェコは本当に対応が早かったですね。私はチェコ語が本当に分からないので、日本語での発信とても嬉しいです。首相の演説も読みました。チェコに滞在中も、何度も記事を参考にさせていただきました!

    1. Noriko より:

      たまじょさん、こんにちは。はじめまして。
      3月15日といったら一番緊張感のあった時期だと記憶しています(つい最近のことのように思いますが、もう2ヶ月も前ですね…!)。今でこそ日本の空港の対応も落ち着いてきていると聞きますが、その頃はさぞ大変&不安だったのでは。お察しします。今無事でいらっしゃるなら何よりです。

      だらだらと長い記事を読んでくださり恐縮です。書いてよかったです。ありがとうございます!

  2. MASAKI より:

    NORIKOさん、旦那様と共にご無事で安心しました。
    日本ではイタリアやイギリス・ドイツ等の情報はテレビやラジオで容易に得られた様に思います。
    しかし、チェコを始め中欧~東欧の情報はインターネットからしか得られない(しかも大抵は日本語ではない)状態でしたので、今回の記事は(も)非常にありがたく思います。

    各国が素晴らしい新型コロナウイルス対策と迅速な対応をしている中、チェコ政府・行政の対応も想像以上に素晴らしいですね!
    その一方では、日本政府と安倍首相の対応が世界一最悪なのはご存じだと思いますが…。

    ところで、前回記事の後から暫く”間”があったので心配でした。
    アメリカやトルコ等ではアジア人差別が増して、更にイギリスではアジア人に対する暴行など…
    そんなニュースを見る度にNORIKOさん大丈夫かな…?と頭を過ぎりましたが…
    まぁ、旦那様が一緒だから大丈夫だろう…と思う様にしていたところでした。

    しかーし!
    今回のレポートで、そんな心配とは全く逆でしたので大変驚きました。
    それと同時に大変嬉しく、素晴らしいチェコの人々に感激・感動です!

    そういえば、チェコは少し前に大勢のベトナムやモンゴル人を労働者として受け入れていた事もあるそうですね…
    それもあってか、アジア人に対する免疫(慣れ)が他国より多かったのも今回の優しさに繋がったものと想像します。
    いづれにせよ素敵な国ですね…。

    ところで、毎度思うのですが…
    NORIKOさん、写真撮り方も上手いですよね。
    対象物に真っ直ぐ真ん中狙って撮るのって凄く難しいと思いますが、
    今回もドンピシャ正確なんですよね!
    当方なんて家に帰ってブログ記事書こうとした瞬間…「あーあ曲ってるじゃんw」「ピンボケやんけ」が多々あるので…。
    やはりプロは凄い!って思う毎回でありました。

    一日も早く今までと同じ「普通の日々」が戻ってくる事を願っております。
    その時はまた素晴らしいチェコの色々な場所を案内して下さいネ。

  3. のんのんち~ より:

    NORIKOさんこんにちわ。のんのんち~です。
    大変ご無沙汰しております。
    ブログは時々拝見しておりましたが、此のところ更新が無いので心配しておりました。
    お元気そうで良かったです。
    マスク、素敵ですね。

    チェコを旅してから早2年。
    何処にでも自由に移動できることが当たり前に生きてきたので
    こんな事が起きるなんて想像もつきませんでした。

    今年は何処にも行けなかったので、旅行の写真眺めていました。
    きっと今年も菜の花綺麗だったでしょうね。
    景色は変わらないのに、人の生活だけ変化してしまっているのが
    ちょっと不思議な気持ちです。

    私は実家が近いですが、母にはしばらく会っておりません。
    自粛要請に関わらず、もし、母にうつしたらと思うと心配で、行くことが出来ません。

    まだまだ不安な事が多いですが、安心して行き来できる日が来るのが待ち遠しいですね。
    チェコの写真、楽しみにしております。

    1. Noriko より:

      のんのんち~さん、こんにちは!お久しぶりです。
      更新が止まっているのは、自粛生活で書けることが無いからなんです笑。私はいたって健康です。ご心配いただいてありがとうございます。

      今年も菜の花は咲き、新緑もキレイです。
      同じ場所でも植える植物は毎年変わるので、年によって風景(色の組み合わせ)が変わるのですが、今思えば2年前は当たり年でした。昨年も今年も、のんのんち〜さんがご覧になったときほどは「一面菜の花!黄色が眩しいっ!」な場所を見つけられませんでした。

      パンデミックで国同士の行き来が出来なくなるなんて、本当に想像もしませんでしたよね。こんな世界になるなんて。
      ご実家が近いのに会えないのも心配ですよね。。。
      収束まではまだしばらく時間がかかりそうだけど、早く安心して暮らせるようになりますように(出来れば旅行も!)
      どうぞお気をつけてお過ごしくださいね。

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