夏限定ノスタルジック列車で「ブジェツラフ(Břeclav)〜レドニツェ(Lednice)」

 

国内の観光施設の営業が再開してしばらく経ったころ、レドニツェを訪れました。

南モラヴィア州の中でも南の端の端、オーストリアとスロヴァキア両方の国境に近いレドニツェは、人気のレドニツェ城をはじめ一帯の景観がユネスコ世界遺産に登録されているにも関わらず、通常、公共交通機関でのアクセス方法がバス一択しかありません。

しかし、夏季に限り、ちょっと特別感のある列車が走るのです。初めて乗車してきたのでご紹介します。

 

ノルタルジックトレイン

7〜9月の土日祝(2020年は7月4日から9月6日)に限り、1948〜1956年に製造されていた「フルヴィーネク(Hurvínek)」という真っ赤で角張った車体のレトロ列車が運行します。観光列車といえますが、レドニツェを訪れるための移動の足としても使えます。


 

走行区間は、「ブジェツラフ(Břeclav)」〜「レドニツェ(Lednice)」間の往復。途中の停車駅は4つ。全行程12kmを30分かけてゆっくり走ります。速度がのんびり過ぎてたまに自転車に追い抜かれるのもご愛嬌。

 
「a zpět(ア ズピェト)」は「and back」なので、ブジェツラフからレドニツェへ行って戻ってくる 往復列車の意味。

緊急停車用レバー。おもちゃみたいでかわいい。

年季の入った木製の座席

 
乗客の内訳は、子ども連れが半分くらい。あとは、鉄道ファンらしきカメラを持った男性グループや、男性が女性に列車のうんちくを語っているカップルなど。夏休みに入ったばかりの晴れた日でしたが、席は適度に埋まる程度で混むこともなく快適でした。
珍しい列車だからか、道路から手を降る人もいます。

 
車窓のながめは、他のローカル線と変わりません。田舎の農村や一面の畑。わたし自身がそうだったように、日本から来て初めて見ると新鮮で見飽きない風景なのですが、いつの間にか見慣れてしまい写真を撮るのを忘れてしまいました。

唯一、珍しかったのが、大きな池に掛かった橋のど真ん中に位置する「レドニツェ リブニーキ(Lednice rybníky)」駅。駅名の意味も見たまま「レドニツェの池」。写真の左手に水色の駅名標が見える通り、ここがプラットホームで眼下がすぐ水面です。周りは木が茂っていて歩けるようにも見えず、誰が何のために利用するのかは謎。停車して景色を楽しんでもらうためのサービス駅とか?

 

終点「レドニツェ」 駅

19世紀終わりにレドニツェ城のオーナーであるリヒテンシュタイン家の建築家が携わって建てられたため、このような美しいデザインの駅舎が作られたそうです。レンガとタイルで作られた模様がゴージャス。国内でもトップクラスの優秀デザイン駅のように思うのですが、夏の週末しか使っていないなんて勿体無いような贅沢なような。

 

駅から街の中心部まで続く小道がまた素晴らしく。この草いきれのこもる緑のトンネルを抜けるとレドニツェ城が現れます。チェコの郊外を巡るのって車が無いと本当に効率が悪いのですが、車だったら気づかなかったであろう風景に出会うと、嬉しくなります。

 

時刻表


 
2020年版です。
過去数年分を 遡ったところ、2017年以降全て同じだったので滅多に変更は無さそうですが、訪問の際にはその年の最新版を事前に確認してください。

日程・時刻表の最新情報を確認したい場合、「Historickými vlaky do Lednice」(意:レドニツェ行きヒストリックトレイン)で検索するとその年の新しいリーフレット画像が見つかると思います。

 

切符の料金・購入方法

片道 30Kč(約140円)/往復 50Kč(約240円)(子供・学生・シニア割引あり)
チェコ国鉄の駅の切符売り場、または乗車後車内で車掌からの購入も可能。(オンライン購入不可)

一日に4本のみと少ないので、都合によっては片道だけ利用することもあると思います。その場合は、ブジェツラフが最寄り駅で、バスで20分強です(鉄道よりバスの方が早い!)

ブジェツラフは駅のサイズは小さいですが、国際列車の停車駅で、プラハやブルノはもちろん、ウィーン、ブラチスラヴァ、ブダペストへの直行列車が停まるブルノに次いで南モラヴィア観光の起点になる駅です。

 

余談(7月のコロナ)


 
レドニツェを訪れたのは7月上旬。例年なら1〜2週間の夏休暇を国外で過ごす人が増えてくる時期です。
コロナによる国境コントロールで地続きの隣国にさえ行けなかった時期は過ぎ、EU内であればほとんどの国に検査無しで行ける状況になりました。実際知り合いでも何人か国外バカンスに行った話は聞きますが、今年は近場の国内旅行にとどめておこうと思う人もやはり多いようです。

営業再開した国内、特にレドニツェのような郊外の観光スポットは、例年よりも多いくらいのビジターに恵まれています。今までわざわざ行かなかったけど、行くところも無いし修学旅行以来に行ってみようか、という感じでしょうか。まだ外出は様子見の人が多いかと思っていたので、意外な盛況ぶりでした。
 

チェコは、7月中頃から感染者が増加しています。マスク義務が解除されたり、ホリデーシーズンで移動が増えたり、夏で気分が大きくなったり、と原因になりそうな環境が重なっており、いくつか感染流行地域が発生しています。
私の住んでいる市では、コロナが始まって以来、感染者ゼロを保っていたのですが、7月に初めて確認され、現在は8名。それ以上は拡がっていないようでひとまずは日常生活に変化はありませんが、感染者の多い地域では屋内マスク着用義務を再開したところもあります。

 
最新の危険度マップ。白が感染者ゼロかほぼゼロ、赤が危険。緑は、「地域への感染拡大の心配はないけれど感染者がいる」とされる場所です。「緑色」だと安心な感じがしますが、最近はほぼ毎日200人台の新規感染が確認されているし、治療中の患者数は5,000人を超えて、これは過去最大(悪)です。

気になる人々の感染対策の意識ですが、決して高いとはいえず、混んでいる屋内でも誰一人マスクをしていません。ソーシャルディスタンスを気にする様子もありません。明確なルールがあるわけではないので人それぞれで構わないのですが、レドニツェでは色んな地域の人が集まる観光地ということもあり、ヒヤヒヤしてしまいました。自分含め不安を感じているタイプの人にはまだ観光地は早かったです。

ホリデーシーズンが終わって夏気分が抜けるころには落ち着くものなのか、それとも、気温の低下と共にまた流行拡大するのか・・・。注視しつつ控えめな夏を過ごしています。
 

8 Replies to “夏限定ノスタルジック列車で「ブジェツラフ(Břeclav)〜レドニツェ(Lednice)」”

  1. こんにちは。
    はじめまして
    GSTと申します
    私の叔母がvracovに住んでおり、叔母の旦那の親戚がKyjovに住んでいます。
    僕自身も3回訪れ、旅行記をブログに書き始め、こちらのサイトに出会いました。
    ブログ初心者としてぜひこちらのブログを参考にさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?

    1. Noriko より:

      Gaku Satoさま、はじめまして。
      どういった意味での「参考」でしょうか?
      雰囲気や構成の仕方を参考に、ということでしたら伺っていただくまでも無く問題ありません。

      もし、具体的な情報(例:アクセス方法、チケット代、現地で見られるもの 等)を写したいということでしたらご遠慮ください。過去の情報は変更されている可能性もありますので、ご自身のご体験を元にご確認ください。
      メールも拝見しましたが、こちらで返答とさせて下さいませ。よろしくお願いいたします。

      1. Gaku Sato より:

        返信ありがとうございます。
        言葉足らずですみません。
        ブコヴァンスキームリーンを訪れたのですが、具体的にどのような施設なのか学生時代の僕ではしっかりと理解できていませんでした。
        施設の説明を参考にさせていただいても大丈夫でしょうか?
        施設の説明を日本語でしてくださっているブログがnorikoさんの記事しかありませんでしたので…
        写真は自分の撮影したものを利用し、料金やアクセス方法などは自身で調べたものを掲載する予定です。

        1. Noriko より:

          自ら足を運んで現地で調べた情報ですので、丸コピーでは無いにしろ参考にされるのはあまり良い気がしないのが正直なところです。が、私に許可云々の権利もあるとも思いませんので、ご自由に。
          施設の説明であれば、施設の公式サイトをご覧になっていただくのをお勧めします。とても詳しく紹介されており、自動翻訳を使えば十分理解できるはずです。結果的に似た説明になるかもしれませんが、それについてはもちろん何の問題もございませんので。

  2. マンジェルカ より:

    Norikoさん、こんにちは。
    レドニツェ城は一昨年の夏チェコを訪れた時にドライブ中に寄りました。あまりにも広くて全て見ることが出来なかったのでまた行きたいと思いました。このレトロな電車、とても素敵です。
    コロナの渦中ではありますが、9月からチェコ人の夫とチェコに移住することになりました。不安なこともありますが、Norikoさんの文章や写真を見てはワクワクな気持ちでいっぱいになります。私も南ボヘミアの小さな街で頑張ります。
    大変な時期ですがどうかご自愛ください。

    1. Noriko より:

      マンジェルカさん、こんにちは。
      レドニツェ城は一日では全部見られないですよね〜。広すぎ!

      ついにチェコへ移住されるのですね!日本の生活を全部引き払って引っ越すのってやる事多くてすごく大変じゃないですか。今一番お忙しい時期ではないでしょうか。

      なんと奇遇にも(?)私の方は10月末に日本へ移住します。コロナ禍で予定より遅れていたけど、配偶者の入国制限がようやく解かれたので、数日前に決定したところです。
      お互いこの奇妙な時期の新生活ですが、楽しいものにしたいですね!日本は大変な猛暑だそうですが、ご自愛ください。

      1. マンジェルカ より:

        Norikoさん、ありがとうございます。
        国際引っ越しすごく大変ですね。。毎日断捨離と荷造りでバタバタしていて、その間に銀行や区役所に行ったりと忙しくしています。
        以前ブログで今年の夏に日本に移住される予定と書かれていたので気になっていましたが、10月末に決定されたのですね!日本の入国制限が少しずつ緩和されているので安心しました。
        Norikoさんも引っ越しで忙しくなると思いますが、お互い頑張りましょう。

        1. Noriko より:

          マンジェルカさん
          ほんと、荷造りや処分に加えてお役所も大変ですよね!私がチェコに来た時は自分一人分でしたが、ご夫婦だと分量も倍でしょうし、お察しします。
          私達は元の予定は5月に本帰国のつもりで冬から準備を進めてたのですが、夫の在留資格を申請して結果を待っているうちにコロナが始まってしまって足止めされてたんです。
          お互い新生活を楽しみに引っ越しを乗り切りましょう!

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