結論から言うと、「スラヴ叙事詩」の2019年以降の展示の予定は無し。
一旦は保管庫へ、という事が決まっています。
(2019.10.14追記)
「スラヴ叙事詩」は最低でも5年間はモラフスキー・クルムロフ城に展示されることがプラハ議会にて決定しました!
予定では、2020年5月にプレオープン、7月本公開。最短で一般客に公開されるのは2020年7月からになります。
(2020.5.29追記)
当初の公開予定(2020年5月にプレオープン、7月本公開)にモラフスキー・クルムロフ城側の準備が間に合わず、早くて2020年冬に公開されると決まりました。
残念ながらそれまでは未公開です。
「最低でも5年間モラフスキー・クルムロフ城」ですので、本来「スラヴ叙事詩」が落ち着くべきプラハへの帰還は最短で2025年です。
↓↓↓以下の記事は、まだ展示場所が決まっていなかった2019年1月に書いたものです。
これまでのスラヴ叙事詩
アルフォンス・ミュシャの代表作、「スラヴ叙事詩」。
2017年の日本での展覧会では全20作品が初めて揃って国外で見られるということで65万人を動員し、その年の美術展動員数1位に。2018年はプラハとブルノで別々に展示。
それ以前は、2011年までは南モラヴィアのモラフスキー・クルムロフ城に、2012〜2016年はプラハ国立美術館ヴェレトゥルジュニー宮殿に展示されていました。
そして、現在(2019年1月)は、どこにも展示されていません。
スラブ叙事詩のオーナーであるプラハ市は、展示出来る場所を作りたいと考えてはいるそうですが、予算面や場所をどこにするかでまだ議論の途中で、具体的なプランは決まっておらず「プラハに展示出来る場所は少なくとも今後3年間は無い」とのこと。
となると、元々あったモラフスキー・クルムロフに戻すのが筋。モラフスキー・クルムロフ城は、温湿度管理やセキュリティー面が完璧では無かったそうですが、もし戻って来るなら設備を整える準備は出来ているとのこと。
いずれにせよ決定権はプラハ市にあり、その結論次第の様です。
ミュシャの孫vsプラハ市
スラヴ叙事詩を巡っては、アルフォンス・ミュシャの孫ジョン・ミュシャ vs プラハ市で訴訟が起こっています。
ミュシャは、1928年にプラハ市にスラヴ叙事詩を寄贈しましたが、その時の条件が、「チェコ国内で展示する」「展示場所を作る」ことだったにも関わらず、未だ恒久的な展示場所が無い上に、国外(日本)へ持ち出した、と。
ジョン・ミュシャの方は、「市が現実的な計画をきちんと考えてくれるなら訴訟を取り下げることも検討する」と言っているそうですが、それに対して文化担当市議会員のコメントは「日本人の方がブルノの人よりずっと興味示してくれたけどね」・・・。まぁその通りなのかもしれませんが、ちょっと攻撃的ですねぇ。さて、和解出来るのかどうか?!
まとめ
残念ながら、スラヴ叙事詩は、当分は展示されず市の保管庫に保存されます。今後展示されるとすれば、モラフスキー・クルムロフ城が最有力ですが、具体的な予定はありません。
プラハ市が新しい場所を建設するとしたら2022年以降になるでしょう。
将来的には期間限定でどこかへ貸し出す可能性もありますが、国外へ持ち出したことで揉めている最中なことを考えると当分は国内限定だと考えるのが妥当です。チェコ国内での企画展を目指すにしても、作品のサイズがとにかく大きい事や温湿度などのシビアな条件を満たす場所は限られています。
ミュシャ本人がチェコ国内で展示されることを望んだのですから、「スラヴ叙事詩」が落ち着ける場所を早く作って、チェコを訪れる方が見たい時に見れる環境が整うことを願います。
「SLAVIC EPIC’S LOCATION BACK IN PLAY」『PRAGUE.TV』
https://prague.tv/en/s72/Directory/c206-Art-and-Culture/n16649-Slavic-Epic-s-location-back-in-play(2019.1.7)
「Slovanská epopej se možná vrátí do Moravského Krumlova. Praha zatím nemá prostor, kde ji vystavit」『Česká televize』
https://ct24.ceskatelevize.cz/regiony/2708813-slovanska-epopej-se-mozna-vrati-do-moravskeho-krumlova-praha-zatim-nema-prostor-kde(2019.1.17)
こんにちは!
2019年ゴールデンウイークに、プラハを訪問予定にしている者です。
スラブ叙事詩を観れるとワクワクしていたのですが、Norikoさんのブログをみて 衝撃を受けています。
また、進展がありましたら ムシャファン達に是非 配信をお願いします!
ムシャファンさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
プラハにいらっしゃるのですね。せっかくの機会なのにスラヴ叙事詩の展示が無くて残念です…。
その頃には状況が進展しているかもしれませんし、展示の情報を見つけたらまたポストしようと思います。
愛猫とら
ミュシャのスラブ叙事詩………………
2018年の10月にプラハに12日間観光で滞在した時に、市民会館(Obecni dum),スメタナホールがある建物に11枚だけ展示されているのを観ました。たしか20枚と記憶していたので、??。
大きいので、建築現場の足場の金属の棒に、張られている状態でした。薄暗がりでの鑑賞で、
よく見えない。その時、そのプラハから、パリに私は移動しましたら、なんと、サン ジェル マン デ プレに会場名は記憶してませんが、残り半分が来ていることが判明しました。
だから、プラハで、半分を見ても、感動出来ない理由が判明しました。絵に対する感動よりも
彼の祖国愛を叫ぶ感情には感動します。私は彼のパリ時代の幸福に満ちた女性の絵のほうがすきです。スラブ叙事詩はチェコでまとめて鑑賞することが、彼も安心すると思います。
パリで残りの半分は観に行きませんでした。…………
昨年の10月ですと、プラハで展示されていなかった残りの9枚はチェコで展示されていましたよ。ミュシャの故郷に近いブルノでチェコスロバキア建国100年記念の一環でした。
パリでの回顧展はポスター作品中心だったようです。
Noriko さん、お返信ありがとうございます。
私の昨年の初めてのプラハは、私の記憶違いで、11月1日から始まりました。パリは11月の
中旬の頃でした。同じホテルに日本人の滞在者がいらして、近くに展示されているので、もう薄暗い時間なのに、〜〜〜今から行くと聞いて、私は、残りの9枚が来ているのだと早トチリしたのですね。……………ブルノですか。
叙事詩はまとめて鑑賞しないと残念な感想になりがちです。…………これは私の感想。
数年後には20枚揃って、且つ良い状態で展示することが出来る場所が作られる可能性が高いので、その機会を待つのが良いでしょうか。相当大きな場所が必要になりそうです。
Noriko さん
プラハ叙事詩ですが、芸術家って、とんでもない事を成し遂げるんですね。体力がないと描ききれないね。バチカンのミケランジエロの天井画、
あの大きさの絵を描きながら展示の仕方まで考慮することなかったのかな………。
確か民族の存在の危機が関連してましたよね。……説明くわしく読んでいないので、間違えて認識してるかも。………
そうですね。体力が無いと無理ですね。それに支援してくれるパトロンも。
スラヴ叙事詩は18年かけて描いたそうですが、昔の芸術家はスケールが違うなぁと。
2013年8月、プラハのヴェレトゥルジュニー宮殿で全作品を初めて観ました。そして、2017年6月に国立新美術館で再会しました。
これまでの経緯やその後のことを考えると非常にラッキーだったと思いました。いつの日か、またチェコで良い状態の全作品を観たいと思います。
プラハと東京で二度もご覧になったんですね。観たくても観られない状況がしばらく続きますが、数年後に完成する(はずの)専用の場所で観るのが私も楽しみです。
NORIKO 様
返信有り難うございます。
国立新美術館は撮影できた作品は5作品のみでしたが、プラハでは全作品撮影できました。ヴレトゥルジュニー宮殿は私たち2人以外は2,3人しかいませんでした。
スラヴ叙事詩とは離れてしまいますが、当時、宮殿にはスラヴィアもありました。ミュシャはスラヴィアを何点か描いていますが、真っ直ぐこちらを向いていて足元に鷲が描かれているスラヴィアです。私はこのスラヴィアが好きです。市民会館の市長の間のフレスコ画など。また、聖ヴィート大聖堂のステインド・グラスを思い出します。
NORIKO様、今後もスラヴ叙事詩の情報をお願いします。
今後も情報を
Kimoto と申します.
ミュシャのスラブ叙事詩を見たいと思っています.
モラフスキー・クルムロフ城で展示が予定されているとの情報を有難うございます.
コロナ禍が収束したら行こうと考えています.
少し,お聞きしたいことがあります.
ブルノの街,モラフスキー・クルムロフ城,あるいは,近隣に有る,レドニツェ城は第二次世界大戦などの近代の戦争で空襲を受けたのでしょうか?空襲をうけたのち,再建されたものでしょうか? レドニツェ城の内装などは,昔のままのものだとあるテレビ番組が伝えていました.昔のままのものだと素晴らしいと思います.
Kimotoさま、はじめまして。
レドニツェ城について調べてみましたが、戦争でダメージを受けたような情報は見つけられませんでした。参考にしたのは、レドニツェ公式サイト、自治体公式サイト、Wikipediaです。
“再建”関連ですと、「19世紀初頭に外観を改修した」が各サイト共通の情報で、それが一番最近のリノベーションかと思われます。
(私が見つけられなかっただけですので、確実な情報とは限りません。その旨ご承知ください。)
NORIKO様
返信を有難うございました.
ドイツのドレスデンなどは,連合軍の空襲で焼け野原になったと聞いています.
チェコは連合軍側だったし,地方都市は空襲は無かったの知れません.
話は変わって,日本では近々,次のようにチェコの街のテレビ旅番組が有ります.
チェコにいては視聴は無理とは思いますが,お近くの街が日本でも放映されます.
私は,当然見ますが...
(J:COMテレビ) 大人のヨーロッパ街歩き
大人のヨーロッパ街歩き「チェコ・クロムニェジーシュ」 06/10(水) 20:00~
大人のヨーロッパ街歩き「チェコ・ピルゼン」 06/17(水) 20:00~
プラハが戦争での被害が比較的少なかったために古い建物が多く残っているのは有名ですが、レドニツェは地理的にはほとんどオーストリアですし、おそらく戦時中の状況はプラハとはかなり違ったのかと。狙われやすい都市部や工業地帯とは違い、お城があること以外はのどかな田園なので・・・。
2017年の幸運な65万人の一人です、息子の影響で見た方が良いと妻も含め三人で観に行きました、絵の巨大さと美しさと描かれた背景を知り感動しました。
早く常設展示される事を願いその際はもう一度あの感動を得にチェコまで行きたいと思っています。
MINORUさん
日本でご覧になったのは本当に幸運ですね!
常設場所が完成した暁にはミュシャの故郷チェコでもぜひ。その頃には普通に海外旅行が出来る世の中になっていることを願います。