チェコ語は、メジャー言語と違い日本で目にする機会が無いので、字面を見ても全く読めないし意味も分からないと思います。わたしも初めてチェコへ来た時は、予習をしていなかったため、あまりのチンプンカンプンさに「???」状態でした。
旅行中、レストランだったら指さしでも注文出来ますが、パン屋やケーキ屋などカウンター越しに注文する際、指差しでは伝わりにくいこともあると思います。そういう時、商品名を発音できると便利です。それに何より、駅の名前や看板の文字など、目に入る文字の読み方が分かるというのはとても楽しいです。
見慣れない記号があるので「読めない!」と拒絶反応をしてしまいがちですが、実は、チェコ語の読み方(発音)はとても簡単です。いくつかのルールを知れば誰にでも読める(発音できる)ので、ぜひ覚えてみてください!
(1)基本の読み方
(2)ローマ字読みをしない文字
(3)伸ばす音(長音)
(4)ハーチェク付きの文字(軟音)
(5)「ř」の読み方
(6)単語によって読み方が変わるいくつかの文字
(7)英語との関わり
(8)実践するには
(9)まとめ
基本の読み方
チェコ語に使われている文字は、英語と同じアルファベットA〜Z、それに加え英語には無い記号を使います。
読み方は、基本「ローマ字読み」。
ローマ字がそうであるように、一文字一文字の音が決まっているので、それさえ覚えてしまえば何でも読める(意味は分からなくても)ようになる点では、英語よりも簡単だと言えるでしょう。
例)
auto アウト(自動車)
maso マソ(肉)
hrad フラド(城)
kniha クニハ(本)
こんなに単純で良いのかと思うほどストレートにローマ字読みですね。
※記事中では、音を表すため、日本語のカタカナに置き換えていますが、正確にカタカナと同じ音というわけではありません。例に挙げた「フラド」の「フ」は正確には、「h」の音のみで母音「う」は発音しない、という具合です。「クニハ」の「ク」も同じく。「アウト」と「マソ」は本当にカタカナのままの音です。
ローマ字読みをしない文字
いくつかのアルファベットはローマ字読みをしません。
ここがローマ字読みから一歩踏み込んでチェコ語を読むポイントです。数は少ないのでぜひ覚えてみてください。
▼「J」→ ヤ行
例)
jahoda ヤホダ(苺)
Japonsko ヤポンスコ(日本)
jogurt ヨグルト(ヨーグルト)
英語に慣れていると「ジャ」と言いたくなりますが、Ja(ヤ)、Ji(イ)、Je(イェ)、Jo(ヨ)と読みます。
ちなみに、ローマ字でヤ行になる「y」は、チェコ語では母音「i」と同じ扱いになります。
例)
byt ビト(家)
ryba リバ(魚)
▼「C」→ ツ
英語ではカ行ですが、チェコ語では「ツ」の音になります。
例)
cukr ツクル(砂糖)
cena ツェナ(値段)
nic ニツ(何も…ない。英語のnothing)
▼「Ch」→ 英語では「チュ」ですが、チェコ語では「フ」
実際には、「フ」から母音の「ウ」の音を取って、息を強く吐く感じなのですが、正確に発音するのは難しく、だいたい「フ」だと思っておいて大丈夫です。
例)
chleba フレバ(パン)
trochu トロフ(少し)
英語圏で多い「Michael(マイケル)」という名前は、チェコでは「ミハエル」だったり、名前の読み方もチェコルールに則って変わってきます。
チェコの有名な画家のミュシャは、「Mucha」と綴るので、実は本当の読み方は「ムハ」なのです。
伸ばす音(長音)
伸ばす音は「í」「é」「ů」のように上に点や丸が付いています。
例)
sůl スール(塩)
prosím プロシーム(英語のPlease)
mléko ムレーコ(牛乳)
点と丸の使い分けは、単語内の位置によって変わるだけなので、読むだけなら「どちらも長音」とだけ覚えておけばOKです。
ハーチェク付きの文字(軟音)
アルファベットの上に「ˇ」が付いている文字があります。「š」「ě」「ž」「ň」などです(dとtに付く場合だけ、「ď」「ť」となります)。このマークは「ハーチェク」と呼ばれます。
ハーチェクが付くことで音が軟らかくなります。日本語で言うと「チ」→「チュ」、「デ」→「デュ」のような変化です。日本人にとって簡単に理解できる音の変化だと思います。
例)
děkuji ヂェクイ(ありがとう)
rýže リージェ(米)
koňak コニャク(コニャック)
škola シュコラ(学校)
proč プロチュ(なぜ)
アルファベットの組み合わせによって「ムニェ」「ヴィエ」のようにグニャッとした音になる単語もあります。
měsíc ムニェシーツ(月)
svět スヴィエト(世界)
oběd オビェト(昼食)
「ř」の読み方
一番難しい発音が「r」にハーチェクの付いた「ř」です。
「r」は英語でもそうであるように日本人にとって難しい音なのに、rを発音しながら濁らせるイメージです。無理矢理カタカナで表すなら「ジュ」。
この音は、チェコ人でも子供の頃に上手く言えず特別に練習したりするそうなので、日本人が出来なくても察してもらえます。
例)
večeře ベチェジェ(夕食)
čtyři チュティジ(数字の4)
Dvořák ドヴォジャーク(日本では「ドヴォルザーク」として有名な作曲家)
単語によって読み方が変わるいくつかの文字
「v」は「ヴ」の時もあれば「フ」の時もあります。
例)
víno ヴィーノ(ワイン)
všechno フシェフノ(全部)
他に「b」「d」「g」「z」も同じように読み方が変わる場合があります。
どう読むかはルールがあるのですが、いくつか単語を読んでいるうちになんとなくどの発音を選べばいいのか分かってくるので、最初はあまり考えなくても良いと思います。「基本はローマ字読みで、時々違う」と覚えておけばOKです。もし間違っても「ヴ」と「フ」のように似た音同士なので、だいたい通じます。
英語との関わり
スペルを見た瞬間に英単語がイメージ出来る単語があります。意味もまんまその通り。しかし、読み方は頑なにチェコ読みなのです。
これらの単語をどう発音するのか想像してみてください。
・hamburger
・restaurace
・informace
・student
答えは ↓
・hamburger → ハンブルゲル(意:ハンバーガー)
・restaurace → レスタウラツェ(意:レストラン)
・informace → インフォマツェ(意:インフォメーション)
・student → ストゥデント(意:生徒)
日本人が言えたことじゃありませんが、無理矢理感が面白いです。
逆に、スペルを見てもピンと来ないけど、声に出して読んでみると英語に似ていることに気づく単語もあります。
これらの単語、何のことか分かりますか?
・kečup
・špagety
・pyžamo
・džus
答えは ↓
・kečup → ケチュプ(ケチャップ 英:ketchup)
・špagety → シュパゲティ(スパゲッティ 英:spaghetti)
・pyžamo → ピジャモ(パジャマ 英:pajamas)
・džus → ジュス(ジュース 英:juice)
訛りの強い英語のようです。
ケチュプ!とかピジャモ!とか口に出して言いたくなります。
実践するには
お店でケース越しに注文したい時、上記のルールに従って考えれば、商品名を読むことが出来ると思います。
例えば、こんなサラミ売り場で。
読み方が分かれば、
「商品名+プロシーム」
と言えばOKです。
(肉の場合は、それに加えてグラム数も言わないといけないのですが・・・数字は最悪指でどうにか。)
まとめ
わたしはチェコ語初心者ですが、初心者だからこそ気づいたのが「チェコ語が喋れなくても読むだけなら簡単!」ということです。
文中では「だいたいでOK」みたいなことばかり書いてしまって、チェコ語上級者に見つかったら怒られそうですが、実際いくつかの難しい文字を正しく発音するには練習が必要ですので、今回は旅行用に最低限覚えておけば役立つポイントをわたしなりに考えました。今回書いた「基本ローマ字読み+いくつかの例外」を知っているだけで、チェコで目に入るほとんどの単語を読めるはずです。
チェコ滞在の際には、駅名を口に出して読んでみたり、口頭での注文にぜひ挑戦してみてください。通じると嬉しいです!
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めちゃくちゃ分かり易いです。
つい最近、チェコ語の本買ったり、調べたりし始めたばかりで…戸惑っているのは、
Dobré ráno.
Dobré jitro .
てす。この2つの違いについてネットで調べても分からず。他にも、2つ言い方がある物があるらしく、それも分からないままです。
Ahoj . は、親しい間柄で使うとかは、分かったのですが…
初めまして。コメントありがとうございます!
Dobré jitro、恥ずかしながら知りませんでした!おはようの意味なのですね。
チェコ人に聞いてみたところ、古い言い方らしいです。時代物のドラマとか小説の中でしか使われていないそうです。年配の人だと使う人がいるかも、とのことですが、私は耳にしたことがありません。
はい、Ahojは友達同士、もしくは年長者から年少者には初対面でも使うことがあります。キャッチーで言いやすい挨拶なのですが、ご旅行中だと使う機会はあまり無いかもしれませんね。
今年の夏初めてプラハに行くのですが、とても分かりやすい記事で
大変助かりました
チェコ語に補助記号がついてるのを見て、中国語とかベトナム語のようなピンイン記号だったら
確実に無理と思っていたのですが、そうではなかったので何とか読めるようになって行こう
という気が起きました。
一昨年ポーランドを旅行するのにポーランド語を勉強したのですが、例にあった牛乳やパンといった単語はほぼほぼ同じ(mleko,chleb)だし、yが母音なのも音の軟子音・硬子音なども同じ感じなので(řの発音が超難関なのも)ちょっと頑張ってチェコ語で注文したりしてみます^^
多分名詞に定冠詞がつかないのも、それ故、名詞自体が格変化する(しかも7格もある) っていうあたりも同じなんだろうなと思うと勉強する気にはなれませんが・・・
「チェコ語が喋れなくても読むだけなら簡単!」は、文法のことを考えるとなるほどです。
ドイツ語が限界の未熟者さま
コメントありがとうございます。ポーランド語の単語をご存知でしたら、チェコ語はスペルがシンプルなので読むことに関してはより簡単だと思います。逆にチェコ語が先だとポーランド語は同じ単語・音でもスペルが長くてビックリするのですが。
旅行用に勉強するにはチェコ語の文法はトゥーマッチですものね・・・。意味が完全にはわからなくても読めるだけでも街の見え方が変わる気がして記事にしました。お役に立てたなら幸いです。
ご旅行が楽しいものになりますように!