コロナウイルスに関するチェコ アンドレイ・バビシュ首相の演説全文


 
チェコの現在(2020年3月24日)の状況は、「国境封鎖」「生活必需品以外の店舗や施設は全閉鎖」「食料品の買い出しなど生活維持のため以外の外出は禁止」などなど、かなり厳しい対策が取られています。そのおかげか、感染者は1,000名を超えたものの死者は2名のみで、最悪の状況は免れています。周辺国に比べてロックダウンの決断が早かったことが現在のところは功を奏しているのかな、というのが体感です。当然人々は敏感にはなっていますが、ルールを守る人が多く、助けあいの姿の方が印象的な最近です。

そんな日々目まぐるしく変わっていく今のチェコの様子をお伝えするつもりで記事を書いていたところ、昨日(2020年3月23日)アンドレイ・バビシュ(Andrej Babiš)首相の演説が行われました。国内で感染者が確認されて以降、頻繁に政府の記者会見は開かれているものの、コロナウイルスに関しての政府の方針と国民への感謝を伝えるこのような改まった演説は初めてでした。バビシュ首相を支持しているか否かは一旦置いておいて(演説内でもそれについては触れられています)、良い文章だったので急いで全文を日本語訳してみました。ぜひ読んでみてください。

ニュースサイト「iDNES」に掲載されている原文https://www.idnes.cz/zpravy/domaci/babis-narod-projev-nadeje-koronavirus-politika-zachranari-pomoc.A200323_180225_domaci_makaを一旦英語に機械翻訳したものから日本語へ訳したので、もしかすると間違いがあるかもしれません。素人翻訳ですので細かい点は多めに見てください。意味が大きく異なる誤訳がありましたらご指摘ください。



国民の皆様へ

今、我々は、国の近代史の中で最も困難な時期の中にあります。全員一緒にです。これまでにない過酷で通常ではない状況になってから明日で2週間になります。これは非常事態です。

我が国の歴史の中で重要な瞬間を振り返ってみると、我々はいつも勇気と思いやりと相互扶助によってそれを乗り越えてきました。あらゆる痛み、苦しみ、不公平にもかかわらずです。常に勇気を持っていました。

近頃、私は、勇気・思いやり・相互扶助を目にしています。毎日、そういった人々を見ています。私は大きな敬意を持って感謝したいと思います。全ての国民の皆さんに感謝します。文字通り全ての皆さんに。

我々の緊急対策の必要性を理解し、尊重して助けてくれている皆さんを本当に誇りに思います。我々の国は、かつてこのような試練を受けたことはありません。私は、我々が人々の生活を難しくしていることを実感しています。誰ひとりそのための準備をしていませんでした。しかし、我々は非常に上手くやれています。

皆で早くコロナウイルスを止めれば、早く元の生活に戻れます。皆さんには忍耐をお願いします。思いやりを持って。

この巨大なパンデミックを全世界で解決しようとしていますが、我々もあなた方と同じように、まだ対応を学んでいるところです。ですから、部分的な誤りや問題点はどうかご容赦ください。沢山ありますが。そういうものです。ヨーロッパのどの国も準備していなかった危機的状況です。

信じてください、私は今、国民の命と健康、そして国の未来を最も気にかけています。我々は同僚やすべての国家機関と最善を尽くしています。

それについて説明しましょう。

我々の危機管理スタッフは、疫病専門家のロマン・プリムラ教授が指揮を執っています。
状況が進行する中、政府は国民の健康を守るためにウイルスの蔓延を防ぐための具体的な対策を講じているほか、商売人、起業家、企業の解雇や倒産を防ぐための経済対策を講じています。

国際的な調整も含めて、何百、何千という作業があります。もちろん私は国の首相として、個人的にすべての危機対策に責任を持っています。そして、私は政治的責任を全うします。

政府全体が可能な限り無休で活動していると同時に、可能な限りの情報を国民の皆さんに提供するように努めています。この緊急事態に対処するためには、政府に対する国民の信頼と国民の意識が鍵を握っています。もちろん、すべての人がすべての情報を得ているわけではありませんし、得ようとしているわけでもありませんが。

しかし、一つだけ今みなさんが分かっていることがあります。

我々は非常に上手くやっています。そして、我々はこの問題に対処可能だと確信しています。みんなでつながり、助け合えばできます。そして何よりも、皆が思いやりを持ち、新しい措置を遵守することで。

身勝手な違反は面白くもないし、勇敢でもありません。国全体の根源的な生活の複雑さを長引かせるだけです。隔離されなければいけないのに、パブの前に集まってビールの飲む人々はヒーローでも何でもありません。むしろ、自分の子供、妻、高リスクの祖父母を感染させる可能性を知っているにもかかわらず、たったの数日間でさえ我慢出来ないのは卑怯者です。なぜ家族だけでなく、他の市民に対してもそのような無責任なことをできるのか私には理解できません。

だからこそ、責任を持って行動することを呼びかけたいのです。我々は限られた動きを守り、社会的接触を求めず、公の場では全員が口や鼻を覆う。これは、我々全員の命と運命を守るためです。


我々はやり遂げます。心配しないでください。

我々には優秀な医師、医療スタッフ、衛生士、警察官、消防士、兵士、疫学者がいます。彼らは皆、非常に勇気があります。なぜなら、彼らは我々のために自分の命を捧げているからです。

ご存知のように、残念ながらマスクと呼吸器の納入が遅れています。マスクと呼吸器は世界的に希少価値の高い商品であり、世界の保護具生産の大部分を中国が占めています。マスクと呼吸器は今年の2月に入った頃から世界中で入手できませんでした。無いのです。これらの保護具は近隣諸国によって留め置かれ、現在は各州がその在庫を確保しています。それもそのはずでしょう。

まず第一に、 中国からの医療品を定期的に空輸してくれているハマーチェク大臣とゼマン大統領に感謝したいと思います。

また今日マスクを縫っている女性たちにも感謝したいと思います。使い捨ての布よりも布製のマスクの方がずっと良いということを指摘しておきたいと思います。いつも布マスクを着用して、丁寧にケアすることをお勧めします。方法は保健省のコロナウイルスのホームページをご覧ください。

また、いくつかのマスクを送ってくださった方々にも感謝します。特にチェコの国旗柄のものは嬉しかったです。ありがとうございます。


私たちには希望があります。大きい希望が!

我々は病気の自然拡散を防ぐために厳格な措置を講じた数少ない国の一つです。我々は直ちに学校、店、国境を閉鎖し、外出制限を出しました。このことは、我が国の政府が最も厳格で早期の対策の一つを導入したことが国際比較でも示されています。また、自主隔離が宣言された後もなぜ通勤を許可し、職場以外の行動のみを制限したのか、改めて説明したいと思います。

我々は、国の経済を止めたり麻痺させたくありません。なぜならそれは、企業や個人事業者、そしてもちろんその従業員にとっても、大きな混乱やビジネスの終了を意味するからです。我々は、自主隔離を通じ、人の移動や接触を最小限に抑え、感染のリスクを減らそうとしています。

もちろん、コロナウイルスの大規模感染により、完全に閉鎖された自治体や町を支援するために、政府も最大限の努力をしていきます。今、私自身のために、そして私の仲間のために感謝したいと思います。我々を助け、支えてくれているすべての人に感謝します。


皆さんに感謝します。

医療に従事する医師、看護師、衛生士、疫学者、警察、消防士、兵士。今は学校に行っていない子供たちの世話をし、おそらく家で勉強を教えなければならない全ての親たちに感謝しています。

私はすべての高齢者に感謝します。私は、あなた方にとって精神的に大変なこの状況をどうすれば良いか方法を考えています。あなた方は分からないかもしれませんが、我々はあなたを必要としています。子供たちはおばあちゃんやおじいちゃんを必要としているし、お年寄りには人生経験があり、それは我々にとって非常に重要なものであり、ずっと大切にしてきました。おじいさん、おばあさん、あなたたちは我々のものです、我々はあなたたちを必要としています、どうかお大事にしてください。

また、新しい番組を立ち上げたり、子どもたちを指導したりと、準備をして対応してくれた我々の公共メディアにも感謝します。高齢者のための情報チャンネルとしての役割も果たしてくれました。また、市民を安心させてくれた他のメディアにも感謝します。

ボランティアの皆さんにも感謝します。彼らは無欲に他の人を助ける名もなきヒーローです。マスクを縫ったり、高齢者を助けたり、医療従事者にコーヒーを提供したり。それらすべてが重要なのです。

それぞれの分野でコロナウイルスと闘うための技術を提供してくれる企業に感謝します。今、人生で一番危険な仕事をしているであろう店舗スタッフの皆さんにも感謝しています。そして、働くという決断をしてくれた皆さんに感謝します。たとえ後に、私を支持せず政治的に争うことになったとしてもです。

また、仕事ができない中、Facebookeでライブ配信したり、マスクを縫ったり、とにかくどんな方法でも人の役に立とうとしているアーティストの皆さんにも感謝します。

仕事や家を一時的に離れて、国や隣人のために奉仕してくれた方々には大いに感謝します。自身の身近でも、インターネットでも、何千ものボランティアグループの一つでも。これらを見ていると、信じられないような気持ちです。

難しい状況を抱えた人でさえも助け合う国民の皆さんを見ていると心が温かくなります。誰もが、自分の人生と家族を可能な限り継続させ、先を見据えつつ、ヒステリーを起こさず行動していることを。

お互いに信頼し合ってこそ、コロナウイルスの流行を止めることができると思います。今、我々一人一人が日々の生活を大きく変えなければなりませんでした。大変なことだと理解しています。そして、私は政府のあらゆる対策の効果がすぐに現れると信じています。

政府が講じた生活に関わるかつてない制限に耐えてくだり、改めて心より感謝したいと思います。

私はそれがあなたとあなたの愛する人たちにとって簡単ではないことを知っています。そして、これらの措置には当初考えていたよりも時間がかかる可能性があります。私は率直に申し上げます。そういうものなのです。でも、心配しないでください。我々は一緒にいますし、私はいつでも一人一人のためにここにいます。

我々は一緒にこの危機に直面してきました。そして、我々はこの危機から、人として、そして国家として、より強く、より良い状態で抜け出すことができるでしょう。

以上
 

「コロナウイルスに関するチェコ アンドレイ・バビシュ首相の演説全文」への3件のフィードバック

  1. 愛猫とら より:

    私はチェコ共和国がEU内において、早い封鎖に入たことは、素晴らしい決断と行動だと思っていました。チェコの封鎖は日本がクルーズ船の対応で難儀している頃でした。日本は武漢が近いので、ヨーロッパ諸国よりは危機的な情報を得る事が出来たとおもてます。遠いチェコ共和国の機敏さに拍手です。
    しかし、チェコ共和国はEU内よりその行動を批判されたとも聞いています。
    演説の中で理解出来ない所があります。〜〜〜マスク、人工呼吸器が近隣諸国に留め置かれる。現在は各州が保管してます。それもそはずでしょう〜〜〜
    とはどのように理解したらいいか教えてください。
    チェコ国民は優秀です。歴史的に、国難時の対処法を学んでおります。これはきわめて重要だと思います。
    彼らの勇気、思いやり、相互扶助は歴史的遺産だと思います。……………日本も今、この点を試されています。
    Norikoさん、続けてチェコのレポート書いてください。

    1. Noriko より:

      > 演説の中で理解出来ない所があります。

      その箇所は私も真意に確信が無かったので、直訳しました。
      当時の状況からして、各国が必要な医療機器をキープするのに必死で手に入れるのが難しかった、という事情を説明しているのだと思います。平常時であれば、必要な時に他国から取り寄せることに問題は無いので。今はそれが出来ないけれど、当然どの国も必死なので仕方がない、というニュアンスだと解釈しました。

  2. 愛猫 とら より:

     Noriko さん、説明ありがとうございました。しばらく、Noriko さんのブログ、未読でした。
    今、チェコにおけるコロナのレポート読み終えて、こちらのお返事読みました。
    理解出来ました。世界中で医療機器、用品の奪い合いがあったこと私も情報を得ています。
    医療機器、用品、薬、食料は自国で確保することの必要性が、このコロナ感染で、日本で基本になってほしいとおもっています。
     Noriko さんのレポートからチェコ共和国でのコロナ対策対応は、日本と比べると時間差がありますが、殆ど同じですが、チェコ共和国は強制、罰金付き〜〜〜べらぼうに高いので成功、EU圏の違反者罰金国と比べるとチェコ人のセンスが抜群に輝いていますね!
    日本は法律上、強制は出来ずに、要請と言うスタイルです。ですから、自分の都合で行動できるのですが、日本文化には個人より集団というジレンマが有り、今回はこれが、ベターに作用したと私は思います。日本の政府も、地方自治体も、個人も協力努力してます。まだ、*おわってないので現在進行形で書いています。今は次のステっプ、行動変要(様)の学習中です。
     私の今年のキヨフの旅は、中止になりました。航空券は払い戻しの手続きが、航空会社より来て、手続きすることになりました。ウイーンから入るチェコの勉強したのに〜〜〜プラハ、パリ
    無くなるわけじゃないけれど、私の体力が衰える。コロナ疲れは確実にあります。民族衣装のお祭り有るのでしょうか?
     Noriko さんの今年の五月からの日本生活も流れたのですね。

コメントは受け付けていません。