チェコのレストランでスタッフから人種差別された!と憤慨している日本人の方をSNSで見かけました。どんな失礼な対応をされたのかと思って読んでみると文化(マナー)の違いによるささいな勘違いだったのでした。(あとから誤解が解けて、実は親切なスタッフだったとのこと)
国が違えばレストランでのマナーも違う点が多いです。スタッフがすべきこと・しなくて良いこと、客がすべきこと・すべきでないこと・・・。日本のマナーを基準にレストランに行くと文化の違いのせいで誰も悪くない誤解が生じてしまいがちです。
チェコの一般的なレストラン(超高級店・ファーストフードを除く)での入店〜退店までの流れを日本のマナーと比較しながらご紹介します。
目次
・入店するとき
・注文/スタッフを呼びたい
・お会計をする
・退店する
・まとめ
入店するとき
【日本】スタッフが入口までやってきて「いらっしゃいませ」、そして席に案内
【チェコ】店に入ったら自分で席を選んで勝手に座る。席に着くまでスタッフは来ない。
つい日本の感覚で入口で待っていても、スタッフはまさか席の案内を待ってるとは思わないので「何で立ち止まってるんだろう?」とは思っても声をかけてくれません(気が利く人ならかけてくれるかも)。こちらからすると、明らかに待ってるのに素通りされてしまい、「客が待ってるのに無視された!」とビックリします。
高級志向のレストランだと、スタッフが案内するルールのところもあります。その場合、必ず入口ドア入ったところに「案内しますのでここで待ってください」と案内板がありますのでそこで待っていれば大丈夫です。日本人としてはこちらの方が安心できるシステムですよね。案内板が無ければ自分で席を選ぶタイプのレストランですので、勝手にズカズカ入っていって座ってしまって構いません。
席を探して座るまでにスタッフとすれ違えば「ドブリーデン(こんにちは)」と挨拶をするのがマナーです(店が忙しかったり、雰囲気次第では必須ではありません)。
挨拶も、スタッフの方が最初に言うべきというルールはなく、どちらか言うと客の方から言うイメージがあります。スタッフが聞いてなくても独り言のように「ドブリーデン」と言いながら入っていくお客さんも見ます。日本の「おじゃまします」と声をかける感覚に近いような気がします。
席を選ぶときは、特に好みがなければスタッフの目に付きやすいテーブルの方が何かと便利です。理由は後に説明します。
入店し、スタッフと一度も顔を合わすことなく席に着いて、そこが屋外や死角の席だった際、「店員さん新しい客がここにいること気づいてるかな??」と不安になるかもしれませんが、意外と目を配っているので安心してください。日本のレストランよりはメニューを持ってくるまでのんびりかもしれませんが、気長に待っていれば必ず来てくれます。(もし、ここで明らかに気づいているのに放置されたらそれは本当に差別の可能性あり・・・)
注文/スタッフを呼びたい
【日本】「すみません」と呼ぶ。
【チェコ】スタッフが来るまで待つ。
声をあげて呼ぶのは無しです。
注文に関しては、遅かれ早かれ聞きに来るので、スタッフの都合の良いときまでひたすら待ちます。
注文を取るのを忘れられたり、食事中に用事があってスタッフを呼びたい場合に客が取るべき行動の優先順位は、
- スタッフに視線を送って、目が合ったら軽く手を挙げる
- スタッフが近くを通った時に、声をかける
- 1・2が無理な場合は、スタッフがいるところまで歩いていく
1が出来れば一番スマートです。
2の声をかけるのも全然構いませんが、気をつけるのは「スタッフが近くにいるときのみ」「抑えた声で」がポイントです。そのためにもスタッフの動線に近く目に止まりやすい席が便利なのです。
声をかける際は、「プロスィーム ヴァース(すみません)」。英語が通じる店ではもちろん英語で構いません。何語であっても日本の居酒屋で「すみませーん!」と呼ぶような大きな声だけはNGです。店内で冷ややかな視線を浴びてしまいます。
スタッフは見当たらないし全く近くに来ないけど今すぐ用事がある!というときは、自分の方から立って歩いて行って話しかけてOKです。大きな声で呼ぶよりはベターです。
ドリンクや料理が運ばれてきた時・皿を下げてもらった時には、毎回「ヂェクユ(ありがとう)」と言うのもお決まりです。そう考えると、客→スタッフにお礼を言う回数の方が多いですね・・・。
お会計をする
【日本】レジへ行く。
【チェコ】テーブルで。(多くはないがレジで払う店もある)
食べ終わってスタッフが皿を下げに来たタイミングで「ザプラティーム(会計します)」とお願いするのがスムーズかと思います。そのきっかけを逃すとテーブルに来てもらうチャンスがなかったりするので・・・。
もし、急いでいるのに会計に来るのが遅ければ、先にあげたように自ら歩いて行って申告しても良いです。その場でお互い立ったまま会計するか、席まで行くから待ってて、と対応してもらえるはずです。
テーブルで会計を待っていると、レジスター代わりの財布かクレジットカードの機械を持ってスタッフがやって来ます。
レストランでの会計に、これだけ知っていれば完璧なチェコ語。
- 「支払いします」 ザプラティーム(Zaplatím)
※こちらが複数人の場合は、ザプラティーメ(Zaplatíme)が正しいのですが、ザプラティームと言っても100%通じるので問題ありません。逆に、一人なのに複数のザプラティーメと言ってしまうと驚かれてしまうかも。 - 「現金で」 ホトヴェ(Hotově)
- 「カードで」 カルトウ(Kartou)
- 「まとめて」 ドフロマディ(Dohromady)
- 「別々に」 ズヴラーシュチュ(Zvlášť)
例:
「ホトヴェ ネボ カルトウ?(現金?カード?)」
「ドフロマディ ネボ ズヴラーシュチュ(まとめて?別々に?)」
のように訊かれます。「ネボ(nebo)」は英語「or」の意。
答えには、「カルトウ、プロスィーム」や「ドフロマディ、プロスィーム」と、それぞれの単語に「プロスィーム(お願いします)」を付ければ丁寧に聞こえます。単語で言い切ってしまってももちろん通じますし、付けない人もいますが、流暢でない外国人だからこそ付けておいて損はないと思います。英語のプリーズと同じ感覚で使えます。
チェコではチップは必須ではありませんが、ファーストフード店でない限り払う方が一般的です。チップの払い方については以前に詳しく書いたポストをどうぞ↓
支払が終わった時点でスタッフとのやりとりは終了。このタイミングで「ナスフレダノウ(さようなら)」と言われるはずですので、こちらも「ナスフレダノウ」と返します。
退店する
【日本】「ありがとうございました〜」と盛大に見送られる。
【チェコ】「ナスフレダノウ(さようなら)」と言って去る。
退店の際には特に「ありがとうございました!」などはありません。会計の段階で挨拶は済んでいるので、あとは適当に店を出るのみ。
席を立って店を出るまでにスタッフとすれ違った場合のみ「ナスフレダノウ」は言った方が良いです。たとえ彼らの方から何も言ってこなくても、です。普通はこちらから言えば返事が返って来ます(取り込み中だと返さない人も)。
まとめ
飲食店に限らず日本のお店は、歓迎の心を言葉と態度で表してくれるので、それに慣れていると「チェコの店員感じ悪い〜」と印象が悪くなってしまうかもしれません。
一方、チェコ人スタッフからすると、入口で立ち尽くしていたり、メニューを持っていっても挨拶をしなかったり、遠くにいるスタッフを呼びつけたりする日本人を失礼な観光客だと思っているかもしれません。
これらの誤解が生まれるのはお互いのマナーの基準が違うだけ。どちらも悪気なんて全くなく普通にふるまっているだけなのに、不快になったりされたりするのは勿体ないです。楽しいはずの旅行中ならなおさら。
些細なことまで気にして緊張する必要は全くないけれど、全然違うんだなぁ、ということを知っておくだけでも予想外のガッカリは減ると思います。
ぜひチェコでレストランへ行くときの参考になさってください。
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